いつも「今日が最後の日」
70歳くらいから、いつも「今日が最後の日」だと思って生きています。ですから、晩酌が終われば、あと3時間ほどの人生です。それを思いながら「ごちそうさま」と手を合わせると、背筋が伸びる気がするのです。
お酒にも好みがあって、ビールも銘柄が決まっていますし、ウイスキーも焼酎も、だいたい何種類かのうちから選んで飲んでいます。ビールだと辛口だし、ウイスキーはスコッチ、焼酎はあまり癖のない味が好みです。
たまに、患者さんや知り合いから、高価なお酒をプレゼントされることもあります。確かにおいしくて、晩酌がひときわ華やぎますが、味の好みさえ合えば、私の場合、安いお酒でも十分に楽しむことができます。
一日の最後にほっとする時間をもつこと。私にはそれが晩酌ということになりますが、お酒である必要はありません。
どんな一日であっても、今日は今日、明日は明日の風が吹くと、区切りをつける何か、たとえばゆっくりお風呂へ入るとか、音楽を聴いたり映画を観る、本を読むといった切り替えスイッチがあるといいのではないでしょうか。
お酒とたばこは、やめる必要はない
うちの病院へ入院していた患者さんが退院するとき、男性の患者さんの場合、だいたい隣に奥さんがいて、必ず出るのがお酒とたばこの話です。
「うちの人は、お酒が好きで、たばこも吸います。体に悪いことばかりしているんです。やめるように言うんですが、なかなかやめられません。先生から、お酒もたばこもやめるように強く言ってください」
これが世間一般のお酒やたばこに対する見方です。医者だったり治療家だったり、病気治しや健康法に関する仕事をしている人のほとんどは、お酒やたばこは百害あって一利なしと考えていると思います。
「お酒はお好きなんですか?」
と患者さんに質問すると、「はい」と小さな声で答えます。明らかに奥さんのことを気にしている様子です。
「たばこも吸われるんですね?」
「はい」
背中が丸まっています。せっかくの退院なのに気の毒になってきます。
「私の考え方をお話ししますね」
そう言って、私もお酒が大好きで休肝日など一日もないということを話すと、患者さんの背中が少しずつ伸びてきます。奥さんは、「一体、この先生は何を言い出すのだろうか」と怪訝そうな顔になります。
「私の場合、お酒は養生です」
養生というのは、ただの健康法ではなく、いのちのエネルギーを高めることで、病気にならないだけでなく、こころが躍動し、いのちが喜ぶものです。

