栄養素だけではなく、楽しむことも大切

ただ、生野菜は食べなくても、煮たり焼いたりと火を通した野菜はいただきます。

私が大切にしているのは、旬の野菜であること、それから新鮮であることです。今は、どんな野菜も一年中食べることができます。しかし、冬にピーマンを食べてもおいしくありません。

春ならタケノコ、夏はピーマン、枝豆、秋はなす、冬は大根、白菜、ほうれん草。

旬の野菜、新鮮な野菜は栄養素も豊富で、何よりも大地のエネルギーをたくさん含んでいます。食というのは、私たちが生きるためのエネルギーを大地からいただく行為です。そのエネルギーのひとつとして、ビタミンやカルシウムといった栄養素があるのです。

野菜カレー
写真=iStock.com/zepp1969
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生野菜を食べることはとても健康的ですが、私のようなタイプの人は、無理して食べる必要はないでしょう。煮たり焼いたりした野菜で十分です。

昔の人は生野菜を食べなくても元気でした。

食は栄養素を取り込むだけではなく、楽しむことも大切です。健康のためと苦虫をかみつぶしたような顔をして生野菜を食べることは、逆にストレスをためてしまって健康によくないだろうと、私は思っています。

食と健康は密接な関係があり治療にもなる

60年以上、がんの患者さんの診療をしてきて気づいたのは、患者さんも医者も食事については無関心だということです。

患者さんは、手術をして退院して家へ帰ったあとは、病気になる前と同じ食生活に戻ります。

医者も食事については、「バランスよく食べてください」とか「食べ過ぎないようにしてください」といった程度のアドバイスしかできない人がほとんどですから、患者さんが「いつもと一緒でいいだろう」と考えるのも当然のことです。

医学部時代、食事と病気についての講義を受けた記憶はまったくありません。医者になってたくさんの医者と付き合いましたが、何を食べればいいか、どう食べればいいか、食べない方がいいものは何か、といったことにはだれも関心をもっていませんでした。

私も外科医のころは、いかにうまく手術をするかで頭がいっぱいで、食の大切さについて考えたことなどありませんでした。

食べたものが血となり肉となるとは知っていても、食べるという行為はあまりにも日常的なので、医学の対象とはならなかったのです。

私は中国医学を学んだことがきっかけで、食と健康は密接な関係があって食による治療も必要だと知りました。