「初任給バブル」の裏にある危機感

近年、わが国の初任給は年を経るごとに上昇してきた。厚生労働省の調査などによると、2000年ごろからコロナ禍が発生する前まで、わが国の大学卒業者の初任給は概ね月20万円前後で推移した。現在の初任給の推計では、23万円程度に達したとみられる。業種や就業地域による影響もあるが、初任給の上昇は顕著だ。

その主な要因として、企業の新卒需要の高まりがある。若手社員を多く確保して、中長期的な事業体制を整備する企業は増えている。ある程度の専門知識を持つ若手社員に活躍の場を与えて、業績の拡大につなげる意図もある。

初任給の対応が遅れると、競合他社などに人材が移る恐れは高まった。人手不足倒産に陥る企業もある。そうした展開を防ぐため、企業は初任給を引き上げて、労働市場でアピールすることが必要になった。