中国の列車に乗って「損した気分になった」
実際に海外の車両に乗ってみると、日本では我慢できないだろうと思われることも発見する。
中国の高速車両、CRH1に乗って深●から広州へ行った時のこと、せっかくだからと1等車に乗ってみた。座席が固定で後ろ向きなのはよくあるし、仕方がないと思ったが、なんと座席の横には窓がない。
※深●の「セン」は土へんに川。
飛行機では時々あるが、シートピッチと窓ピッチがあっていないためにそういうレイアウトなのである。オリジナルがヨーロッパデザインなのでそのまま持ってきているのだろうが、これにはまいった。
車窓は鉄道の旅の楽しみの一つなのに、どうにも損した気分になったし何より閉塞感が耐えられなかった。
日本ではたとえ2席に1つの窓であっても、ロールカーテンはそれぞれが操作できるように、間にカーテンガイドを設けている。窓のピッチと座席のピッチはそろえるのが当たり前であるが、世界では必ずしもそうではない。
飛行機も窓と座席が合っていないものがほとんどであり、これは、機体は同じで状況や需要によって座席数を変えるというやり方をしているからである。窓と座席をきちんと合わせるという日本の車両の常識は世界では通用しないようである。
日本人が新幹線を愛するワケ
鉄道車両はその社会でのみ使われる、地域限定の交通機関であるだけにその地域の文化や慣習、嗜好といったものを無視してはデザインができない。
特にインテリアデザインや接客設備品にその差は大きいが、他にも文化や民族性、また社会のシステムから来ていると感じられる点もある。
たとえば、高速車両の先頭形状は日本の新幹線、ドイツのICE、フランスのTGVと高速車両という条件には差がないにもかかわらず、それぞれに異なる。
もちろん路線条件、たとえばトンネルの有無などにもよるが、それぞれの民族の持つ文化や感性が反映されていると筆者は感じる。どことなく自動車のデザインにも通じるイメージ上の特徴があるのだ。
新幹線100系のデザインを担当した羽田憲一は、「100系の先頭形状のデザインは輪郭線を意識したもの」と言われた。日本画に見られるような輪郭線の存在するヴィジュアルこそが日本人の感性である、というのである。
これに対してICEは洋画のようなボリュームを感じさせられるデザインであり、その違いは国民性からきているように思われる。



