糖が入ってこない間のバックアップ機能がある

ここまで、「朝ダル」の原因は夜間の血糖値スパイクと、その後の夜間低血糖が原因だとお話ししてきました。そのきっかけは、食事を通してエネルギーである糖が入ってこない夜間に糖新生が追いつかず、交感神経が優位になることです。

しかし、なかには低血糖状態になっても交感神経が穏やかに作用し、睡眠のトラブルが

起こらない人がいることがわかってきました。

このような人は「ケトン体」がうまく使えているのです。

血糖値が下がったときにスムーズにケトン体が出てくることで、体内で糖からケトン体へとエネルギーが切り替わります。そのため、血糖値が下がっても集中力が続きますし、イライラすることも、甘いものを欲することもありません。

図表2のグラフは、31歳・女性の5時間糖負荷検査のデータです。―が血糖値、…がケトン体の量を示しています。

被験者にブドウ糖75gを摂取してもらったところ、血糖値は一気に224mg/dlまで上昇しました。そこから時間が経つにつれて下がり、250分後には71mg/dlまで下降しました。

しかし、ここで一気にケトン体にスイッチが切り替わります。ケトン体の量が一気に跳ね上がり、メインのエネルギー源として使われはじめるため、血糖値が低くてもエネルギーをキープすることができています。このように、エネルギーの切り替えができていれば、不調が出ることはありません。

果物が好きな人はケトン体モードになりにくい

ケトン体とは、人間に本来備わった、血糖値が下がってもエネルギーが枯渇しないための仕組みといえます。

この機能がしっかり働き、糖がなくても脂質を使えるようにエネルギーの切り替えができれば、睡眠中に夜間低血糖が起きても、その影響を受けることなくぐっすり眠ることができます。当然、「朝ダル」が起こることもありません。

ところが、普段の食事が糖質に偏っていると、このスイッチをスムーズに切り替えることができません。

朝はパンとコーヒー、昼はパスタ、おやつにチョコレート、夜はラーメン……患者さんにも、こういった食事をしている人はとても多いのです。

街に出ればパン屋さんやカフェ、ラーメン店など、糖質であふれ返っている現代。普通に食べているつもりが、知らず知らずのうちに糖質を多くとってしまっている人はたくさんいます。

健康を意識している方でさえ、血液検査の結果と食事記録を突き合わせると、体が糖であふれた状態になっていることも珍しくありません。

体はエネルギーのうち糖を優先的に使うので、体内に糖がたくさんあると、エネルギーはケトン体モードに切り替わりません。

肝臓に負担がかかっている人も同様です。肝臓は糖のストック場所であると同時に、ケトン体の製造工場でもあるからです。脂肪肝も負担をかける要因であるため、甘いもの、特に果物が好きな人はケトン体モードになりにくいといえるでしょう。