脂質からつくられるエネルギー「ケトン体」
ケトン体について説明する前に、まずはエネルギーの大原則を押さえておきましょう。
・栄養素のなかでエネルギーとして使えるのは、たんぱく質、糖質、脂質の3種類
・3つのエネルギーのうち、糖質が優先的に使われる
・ エネルギーが切れることは体にとって緊急事態であるため、エネルギーの供給は生命活動のすべてにおいて優先される
寝ている間に血糖値が下がったとき、下がりすぎて低血糖にならないように、交感神経が優位になります。それによってアドレナリンの分泌が促されると、肝臓に貯蔵されている糖が放出されたり、筋肉にあるたんぱく質を糖に変えることで、血糖値を維持して低血糖になることを防ぎます。
しかし、肝臓や筋肉に貯蔵されている糖が空っぽになってしまったとき、筋肉をひたすら分解するだけで血糖値を保つのは無理があります。そもそも、たんぱく質の本来の仕事は体の材料になることであり、エネルギーになることではありません。
そこで使われるのが脂質です。アドレナリンは血糖値を上げるとともに、体内の中性脂肪を分解して脂肪酸という形にし、エネルギーとして使います。糖は1gあたり4kcalなのに対し、脂は9kcalと倍以上。効率のよいエネルギー源であることがおわかりいただけるでしょう。
ホルモンの節約にもつながり、いいことづくめ
加えて、脂質を貯蔵する脂肪細胞は大きな組織でもあります。
例えば体重60kg、体脂肪率20%の男性の場合、肝臓や筋肉にストックできる糖の量が約1520kcalなのに対し、脂肪はなんと約86400kcalと60倍ものエネルギー量を蓄えることができます。さらに、脂肪は脂肪細胞が大きくなることで、どんどん貯蔵することができるのです。
ここで問題なのが、エネルギー源に脂肪酸を使えない臓器が存在することです。その1つが脳。ただし、脂質をもとにつくられるケトン体なら、脳はエネルギーとして使用することができるのです。
糖がなくなったとき、脂質からケトン体をつくり出せるようになれば、血糖値がどんなに下がってもエネルギーの供給が途絶えることはありません。
そのため、血糖値スパイクが起こらず、交感神経が優位になることもないので、疲れやダルさ、イライラといった不調も出てきません。
インスリンやアドレナリンなどの血糖調節に関係するホルモンの出番もないので、こうしたホルモンの節約にもつながります。まさにいいことづくめです。

