過去・現在・未来は、必ず一本の道でつながる

一方で、受賞当時「ワイルドだろぉ」「今でしょ!」「倍返し」は、使っている人が多かった印象です。同じ流行語大賞であっても、使われるか否かの分かれ目は、覚えやすく、使えるシチュエーションが多いか少ないかで決まるのです。

理念は、新たに創作するのではなく、すでにある言葉を掘り起こして、最終的に覚えやすく、言いやすく、インパクトのある言葉に整えていくものです。そういった作業を重ねることで、社員に浸透しやすい理念を創出できます。

会社を人として見立てた場合、会社にとっての理念は、人にとっての意志や信条に当たります。

ただし、「あなたの意志や信条は何ですか?」と問われて、すぐ答えられる人は多くないでしょう。同じように、理念の言語化は簡単なことではありません。

そこでやっていただきたいのが「過去の棚卸し」です。過去・現在・未来は、必ず一本の道でつながっています。過去から今日までの選択の積み重ねが現在であり、今現在から先の選択の積み重ねが未来になっていきます。

過去をつぶさに見ていき、その結果の現在を見つめれば、人生をある程度把握できるはずです。

「創業者の人生≒会社の人生」を体現

宮城県仙台市でパーソナルジムを運営する合同会社フィジックでは、正に「創業者の人生≒会社の人生」の考え方がぴったりハマりました。

ジムの代表であり、自身がパーソナルトレーナーでもある佐々木秀将さんは、地元の高校で部活のトレーニング指導もされています。

バスケットボール選手
写真=iStock.com/matimix
※写真はイメージです

佐々木さんが、ある高校のバスケットボール部に帯同していたときのこと。卒業前の最後の高校総体となる5カ月ほど前、前十字靭帯断裂をしてしまった2年生の選手がいたそうです。通常であれば競技復帰は9カ月を要するとされる中、医者からも「高校総体は諦めなさい」と言われ、絶望していました。

そんな中で、涙ながらに高校総体を諦めたくない、ワンプレーでいいからコートに立ちたいと、佐々木さんに訴えたそうです。

「私は医者じゃないから、医者の話は覆せないし、治すこともできない。ただし、きみが諦めないのであれば私も諦めない。一緒に最善を尽くすことはできる」

佐々木さんはそう言って、選手と懸命にリハビリを始めます。その言葉通り、佐々木さんは時に海外から医学書を取り寄せて、英語をなんとか翻訳しながら読み漁るなど、できることのすべてを尽くしました。

迎えた最後の大会の最後の試合。ヘッドコーチが選手の名前を呼びました。そして選手はコートに立ち、得意とするプレーでゴールを決めました。選手から「一生忘れません」と感謝されたことは言うまでもありません。