自己啓発系の定番メソッドだが……

この「赤いものを見つけよう」の実験の主旨は、明確な目的(赤いもの)を意識していれば、世の中の見え方がガラッと変わるということ、そして、世の中は、(その目的に関する)情報で溢れていることを実感してもらうことです。ちなみに冒頭の芸人さんの話であれば、「エピソードの元になるような体験」が、ここでの「赤いもの」にあたるわけですね。

さらに言うなら、何も意識せずに、ただただ漫然と過ごしていては、これだけさまざまな情報が溢れる時代においても、何も見えない(得られない)という批判も含まれているわけです。

なお、この「赤いものをみつけよう」は自己啓発系の定番メソッドらしく、多くの書籍やセミナーなどで用いられており、ご存じの方も多いかもしれませんね(書籍やセミナーによっては、「赤いもの」が、「青いもの」「丸いもの」などのバージョンもある)。

私自身も、この「赤いものを見つけよう」については、これまで何度も目に(耳に)してきました。ただ、初めて知ったときはそれなりのインパクトはありましたが、そのインパクトはその場限り。

「そりゃ、そうだよね」と、頭ではわかって納得しながらも、とくに実生活で実践することはなく、ただただ知識として、頭に入っているだけでした。そのような人も、多いのではないでしょうか?

つまり、「赤いものを見つけよう」の実験で得られるのは、あくまでも「プチ体験」であって、その理屈をしっかりと「腑に落とす」ためには、実体験が欠かせないのです。

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10年経ってようやく、腑に落ちた

私の場合、その実体験は、投資でした。投資をするようになってから、普段から「投資」の視点を意識するようになり、株価・為替・不動産・金などの相場はもちろんのこと、それらに影響を与える経済ニュースなどにも自ずと関心を持つようになり、物事の見方が大きく変わったのでした。

とはいえ、投資を始めたばかりのころは、「目に見える景色が変わった」というほどの効果があったわけではなく、せいぜい、「多少は、投資に関する情報が目に入るようになった」程度だったと思います。

なぜなら、行動が伴わなかったからです。本当に「目に見える景色が変わった」くらいの変化が起これば、それは自ずと、普段の行動も変わるはずですから。

一口に投資といっても、その範囲は膨大で、それゆえに当然、投資に関する情報もあまりにも膨大です。

ですので、投資をはじめたばかりのころ、すなわち、ただただ「投資をしている」段階では、本当に必要な情報がハッキリせず、(今思えば)まだまだ景色はぼやけていたわけですね。

ある程度自信を持って、冒頭の芸人さんくらいのレベルになった(目に見える景色が変わった)かな、と思えるようになったのは、すなわち、普段の行動にも変化が表われたのは、長年の投資経験を経て、自身の興味・関心がハッキリし、その投資スタンス(投資対象)が明確になったころでした。

その対象を絞りこむほどに、(必要な情報がハッキリするようになり)景色がクッキリとしてくるのでした。