孤独と政治思想の因果関係

外の研究では、孤独を感じることとポピュリスト政党を支持することのあいだに関連がみられたり、陰謀論的な考えを持つことと孤独感のあいだにも関連がみられたとの調査結果も示されています。親密な人間関係を保てない、あるいはそうした関係に恵まれていない人が極端な考え方に傾倒しやすいのかもしれません。

また逆に、極端な考え方を持っているからこそ人間関係がうまくいかないのかもしれません。先の精神的健康と同じく因果関係は定かではないですし、どの程度一般化できるのかもまだはっきりしていません。

日本では、先にふれた排外主義団体(在特会)のメンバーに独身者が多いことが確認されています。これについてジャーナリストの安田浩一は、孤立感が国家へのアイデンティファイ(自己同一化)をもたらすと解釈しました(*5)

一方、社会学者の樋口直人は、独身者は単に時間的資源が豊富であり、家族による「ブレーキ」がかからないために実際の活動を行ったり、過激化したりするのだと解釈しました(*6)

悩みを相談できる相手がいるか

本書は活動家を対象としたものではありませんが、同様の視点に立って、右派市民の4つのタイプにはどのような人が多いのかを確認することはできます。そこで、独身者かどうか、(過去1年間に)悩みごとを相談した相手がいるかどうかを分析してみました。これに関しては性・年齢の影響が強いため、性別・年齢別に分析しました。

まず、独身かどうかについては、ほとんど関連はみられませんでした。高年男性の伝統主義者にやや独身者(離死別含む)が多い、というだけでした。独身者はむしろ左派市民に多いようです(*7)

一方、「誰にも相談しなかった」人の割合については、左派市民では関連がみられず、右派市民の一部で関連がみられました。中年男性および高年女性の排外主義者、そして若年男性の反左主義者でその割合が高くなっていました(図表2)。先の精神的健康と同様、愛国的、伝統的価値観の表明ではなく、“好き‐嫌いの感情の極端さ”に結びつきがあるようです。