それでもシニア主体とは言えないワケ
この結果は、生まれ育った時代の影響でしょう。家族や性に関する伝統規範を当たり前のこととして長いあいだ生活してきた人々にとっては、時代が変わったから寛容になりなさいと言われても、なかなか受け入れられないのは想像に難くありません。
しかし、それ以外はあまり年齢による特徴ははっきりしません。しいていえば愛国主義者で70代が少し多い(全体15%に対して19%)程度です。この結果からすると、右派市民がシニア層主体であるという指摘は正しくないといえます。現役世代にも一定の広がりを持っているとみたほうがよいでしょう。
次に、しばしば議論となる社会階層についてみてみましょう。
社会階層は、社会学では一般的に職業、学歴、収入などからなる地位・資源の違いを表します。極端な立場を取らない穏健な保守層、つまり日本でいうならば底堅い自民党支持層は自営業者・経営者・管理職、そして地方の農林水産業従事者に多いといった傾向が指摘されてきました(*2)。
なぜなら、自民党および地域の保守政治家は、こうした地域経済を直接的に担う人々に向けた政策を重視し、そこに互助的な関係が成り立っていたからです。とりわけ地方では伝統的な権力関係が残存する傾向が強く、地域をあげて保守政治家を応援するのはごく自然なこととされました。
「弱者男性」が右寄りとは限らない日本
ただ、極端な右派の人々については、これと異なる議論もあります。主に欧米の極右研究やポピュリズム研究からの発想ですが、経済的に脆弱な人々が社会や政治に対する不満や怒りから、極端な主張にひきつけられるという仮説です。
アメリカでこのところよく指摘されるのは、衰退産業の労働者たちが、以前とは異なりトランプのような極端な主張をする政治家に期待するようになったということです。
ヨーロッパの極右についても、グローバル化のなかで恩恵にあずかれない人たちが不満のはけ口を政権やEUや移民に見出しているという議論があります。実際には、経済的な要因が直接影響するのではなく、移民の文化的脅威や伝統重視といったことが影響していることが多いようです(*3)。いずれにせよ、どちらかといえば階層的な地位の低い人々がその中心だということには変わりありません。
しかし、日本はどうかというと、これまでの調査研究ではおおよそ階層的な弱者による支持ということは否定されてきました(*4)。諸外国と比べるとまんべんなくさまざまな階層に広がっているというのがいままでのところの知見であり、特定はしにくいという了解があります。

