唯一無二の「ぜんざいを凍らせたアイス」

「類似商品が出たこともありましたが、当社のあずきバーはどこも真似できません。我々はオンリーワンの商品だと思って自信を持っていますから」(井村)

1896年にようかんの製造販売で創業した井村屋が培ってきた、小豆の選別からあんの煮炊きまでの卓越した技術。通常のあん製法とは違うこの技術こそが、商品への確固たる自信の表れなのだ。

井村屋初の缶詰商品「ゆであずき」は現在も根強い人気を誇る
撮影=プレジデントオンライン編集部
井村屋初の缶詰商品「ゆであずき」は現在も根強い人気を誇る

加工したあんは一切使わない。小豆の選別からあんの煮炊きまで自社一貫で行っている。

通常、小豆の選別は専門業者が行うことが多いが、同社では自社工場に選別機を投入し、小豆の粒の均一化を徹底している。

そもそも小豆は気候などの自然環境や産地、収穫年によって、形や大きさなどがまちまちだ。それを5つの選別工程を経て、均一の大きさに揃える。1日約1億粒の小豆を選別する手間を加えることで、あずきバーの特長でもある、口当たりまろやかなあんと小豆の粒感が生まれるという。

あん製法のなかで最も高度な技術が必要になるのが、約100粒の小豆を均等に棒アイスに固めることだ。アイス事業に参入した1963年から、小豆が重さで液体の底に沈んでしまうことが課題だった。課題解決のための技術開発は、試行錯誤を繰り返した末に実現した。

小豆が均等に入っているため、一口ごとに小豆の食感が楽しめる
撮影=プレジデントオンライン編集部
小豆が均等に入っているため、一口ごとに小豆の食感が楽しめる

素材そのものだから赤ちゃんも食べられる

小豆と向き合ってきた創業当時からの技、さらに新技術を結集させ、1973年に「あずきバー」が完成した。発売以来、不動のロングセラーになっても、根強いファンの声に応えながら、少しずつ進化している。

初代あずきバー。現在よりも砂糖や塩の含有量が多いため柔らかく、色も濃かったという
提供=井村屋グループ
初代あずきバー。現在よりも砂糖や塩の含有量が多いため柔らかく、色も濃かったという

「ぜんざいをアイスにするが元々の発想なので、あくまでも自然な甘さにこだわり、今の味に落ち着くまで、実は4回の大規模な改良を加えています。1992年にすっきりした甘さにするため、上白糖からグラニュー糖に変更し、翌年にもさらに甘味度を減らし、着色料の使用をやめました。

2004年にも、砂糖の含有量を2割ほど減らして甘さを抑えました。2023年には小豆にとろみをつけるコーンスターチをやめ、素材そのものを楽しんでいただける味になっています。アレルギーを含む原材料も使用していないため、ファミリー層の小さなお子さんや赤ちゃんにも安心して食べていただける、親子3代、4代が楽しめるアイスが『あずきバー』の特長です」

商品開発部冷菓チーム長の嶋田孝弘さんはこう説明する。

商品開発部冷菓チーム長の嶋田孝弘さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
商品開発部冷菓チーム長の嶋田孝弘さん