特有の「固さ」は改良の副産物だった
市場に出回っているアイスクリームのクリーミーな濃厚さやミルクの甘さとは対極にある、小豆を甘く煮たあんの「素朴な甘さ」という商品価値に磨きをかけている。
その価値を知る購買者を常に安定して抱えているのが、同社の強みだろう。だが反面、課題にもなっていると、嶋田さんは言う。
いかに若年層やファミリー層の新たなファンを取り込み、「小豆」味の魅力を伝えていくか――同社が取り組む次の一手とは何か。
甘さを改良したことで、思わぬ副産物が生まれた。それは、アイスの「固さ」だった。
あずきバーの別名は、「アイス界のダイヤモンド」。つまり、歯が折れるほどの「固い」アイスとして知られている。
実際に、商品のパッケージ面には、「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」の注意書きがある。
「アイスの固さは、味わいを良くしようと改良を重ねた結果なのです。甘さを抑えた結果、水分が増え、それが氷になった分固くなっています。添加物や乳原料も使っていないので、そのままの自然な固さなのです」(嶋田)
「柔らかいあずきバー」を作ってみたが…
実は、固い物を食べにくい年配の消費者からの要望を受け、柔らかいあずきバーを開発したことがある。1992年の「やわらかあずきバー」、1997年の「あずき本舗」、2010年の「やわらか仕立てのあずきバー」と3回発売したがいずれも思ったように売れず、1年たたずに終売となった。
いまでも「やわらかいタイプ」への要望はあるものの、やはり消費者はあずきバーの「唯一無二の固さ」を生み出す「唯一無二の味わい」に魅力を感じているということなのだろう。
固さを売りにしているわけではないと嶋田さんは前置きしつつも、最近、合金のようなアイスの「固さ」がSNSでバズリ、これまで「小豆」味に振り向かなかった20代の若年層や30代のファミリー層が新規購買者になっているという。
「当初、社内の一部では固さで評判になることに抵抗感があったのですが、徐々に外部とコラボの話があれば、それに乗って盛り上がりを楽しもうという流れに変わっていきました」(嶋田)


