※本稿は、堀田秀吾『スタンフォード、ケンブリッジ、イエール…世界の科学が証明した絶対に考えてはいけないことリスト』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
放置しても消えない後悔の対処法
「時間が解決する」という言葉があります。
後悔や悲しみ、憎しみといった感情も、時間の経過とともに少しずつ薄れていく――多くの人が、そんな経験をしてきたはずです。
しかし一方で、いくら時間がたっても薄れない感情も確かに存在します。
たとえば、「不惑」と言われる40歳を過ぎてもなお、思春期のころの忘れたい出来事が、今なお胸の奥で暴れ続けているという人も多いことでしょう。
では、後悔は年齢とともにどのように心や体に影響するのでしょうか? そして、どうすればその後悔をうまく乗り越え、幸せな生活を保てるのでしょうか?
この疑問に答えるのが、「人生の後悔と生活の質の関係」を年齢別に調べたコンコーディア大学のロッシュらの研究です。ロッシュらは、若者から高齢者まで幅広い年齢層で「最もつらい後悔」とその影響を調査しました。
結果、驚くべきことに、後悔の心が私たちの生活に与える影響は年齢によって大きく異なることがわかったのです。
後悔の“やり直し”が難しくなる高齢期
ロッシュらの研究では、まず、年齢が上がるほど「後悔したことをリカバーする機会や手段が減る」ことが明らかになりました。具体的には、若い人は平均で約4〜6年前に起きた経験を後悔しているのに対し、高齢者は26〜30年前の後悔を抱えているケースが多かったのです。
言い換えれば、若者ならまだ未来を変えるチャンスがありますが、高齢者にとってはもう取り戻せない過去が増えているということ。これが後悔の重みをより強くし、心身の不調の原因となっているのです(図表1)。
「後悔の強さ」が、生活満足度や健康にどう結びつくかについても年齢で違いが見られました。高齢者は、後悔が強いほど、うつ症状が出たり健康に問題を感じやすくなる反面、若者では、「後悔してもまだ人生の他の面で挽回できる」と感じる傾向が強いことが示されました。
このことは、後悔による心の負担が年齢とともに増すことを示唆し、加齢に伴う心理的な調整が重要であることを教えてくれます。

