大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)で注目される秀吉、信長の出身地である名古屋市周辺。実際に信長の居城跡を訪れた古城探訪家の今泉慎一さんは「秀吉が足軽となり信長に仕えた城は秀吉の生誕地から驚くほど近かった」という――。
五条川の対岸から望む清洲城天守
撮影=今泉慎一(風来堂)
五条川の対岸から望む清洲城天守

商いで栄えた城郭の町・清須

第1回 清洲城(愛知県清須市)

大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)の主役、秀吉(池松壮亮)、秀長(仲野太賀)兄弟。一介の足軽から天下人にまで成り上がっただけあって、生涯で関わった城は数知れず。攻めた城、築いた城、ライバルや家臣たちの城など、大河ドラマで描かれる世界をより深く、現地を実際に踏破してきた古城探訪家の視点で、一歩先の城の楽しみ方を指南する。

清洲城といえば、天下人・織田信長が若き日に居城とした城。そこに一旗上げようと相次いで士官したのが、農民出身の藤吉郎、そして小一郎。のちの秀吉、秀長の異父兄弟だ。兄弟が育ったのは現在の名古屋市中村区。清洲城はそこから距離は6キロメートルほど。歩いて1時間ほどの城郭に囲まれていたという。

秀吉は故郷の中村を出て、放浪した末に信長に足軽として仕えるようになった。つまり、清洲城は信長の天下取りの出発点だったと同時に、豊臣兄弟にとっても同様の場所だったといえる。そんな原点ともいえる城を訪ねた。

【図表1】豊臣秀吉生誕地と清洲城の位置
【図表2】「清洲城」戦国の城・5技能採点表

信長の一周忌に秀吉が建立

最寄駅のひとつ、JR東海道本線の清洲駅から清洲城までは徒歩15分ほどだが、城を訪れる前にぜひ、寄り道して足を運んでおきたい場所がある。

総見院(図表3の地図①愛知県清須市大嶋1-5-2)の建立は1583(天正11)年。本能寺の変の翌年だ。信長の一周忌にあたり、菩提を弔うために秀吉の命で建てられたという。境内には信長公一族の墓碑も並ぶ。落慶にあたり、秀吉、秀長は何を思ったのだろう。志半ばでたおれた主君への追慕か、「これからは俺たちの時代だ」との矜持か、あるいはその両方か――。

信長を弔うために秀吉が建立した総見院
撮影=今泉慎一(風来堂)
信長を弔うために秀吉が建立した総見院
総見院に立つ信長公慰霊碑
撮影=今泉慎一(風来堂)
総見院に立つ信長公慰霊碑