なぜ「格安スマホ」の利用料金は安いのか。ケータイジャーナリストの石野純也さんは「MVNO最大手のIIJは5GBが950円で、ドコモの近いデータ容量で2倍を超える差がついている。これは、大手キャリアと比較してさまざまな面でコストカットできるからだ」という――。

※本稿は、 石野純也『通信ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

携帯電話
写真=iStock.com/Dina Ivanova
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大容量プランなら年間7000円もお得に

格安SIMや格安スマホとも呼ばれるMVNOは、大手通信事業者と比べて毎月の通信料金が安いことで知られています。

具体例を挙げると、MVNO最大手のIIJはIIJmioというサービスの「ギガプラン」で、5GBの料金を950円に設定しています。ドコモの場合、「ドコモmini」という低容量の料金プランが、各種割引適用前で4GB、2750円。近いデータ容量でも2倍を超える差がついていることがわかります。

低容量だけではなく、中容量や大容量でも差がついています。IIJmioの場合、10GBの料金は1400円。ドコモminiだと、10GBプランが3850円になります。ドコモminiは割引サービスで1980円まで料金は下がるものの、それでもIIJmioのほうが580円安くなります。1年単位で見ると、差は6960円とかなりの違いになってきます。

さらに、老舗MVNOの日本通信であれば、「合理的みんなのプラン」の料金が1390円。毎月のデータ容量は20GBと、ドコモminiより多く、さらには5分間のかけ放題か毎月70分の無料通話まで選択することができます。

通信エリアは大手通信事業者と同じ

ここではIIJmioや日本通信を例として出しましたが、他のMVNOもおおむね傾向は同じ。大手通信事業者より高くなることは、ほぼありません。それにもかかわらず、MVNOの通信エリアは、大手通信事業者と変わりません。

これは、MVNOがスマホなどの端末と通信するための基地局を、大手通信事業者から借りているからです。ドコモから借りているMVNOであればドコモと同じ、KDDIから借りているMVNOであればKDDIと同じエリアで、通信することが可能というわけです。料金が安いからといって、大手通信事業者よりつながらないということはなく、安心して利用できます。

なぜここまでMVNOの料金が安いのでしょうか。

それは、MVNOが大手通信事業者から格安でネットワークを借りられているからです。ドコモ、KDDI、ソフトバンクといった大手通信事業者は総務省に「第二種指定電気通信設備」を持つ事業者に指定されており、ネットワークの開放が義務づけられています。

その際の価格も、設備の原価に適正な利潤を乗せた金額と定められており、その価格は毎年公開されています。また、MVNOから接続の申し入れがあった場合、原則としてそれを拒むことができません。