金融詐欺の被害にあってしまう人が減らないのはなぜか。金融犯罪対策専門家の千葉祥子さんは「お得な話に飛びついてしまう人は多い。そういう人に限って自分は騙されないと思っている」という――。(第1回)

※本稿は、千葉祥子『奪われない!お金を守る7つの習慣』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

サイバー詐欺の概念
写真=iStock.com/NongAsimo
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「無料」「限定」「いまだけ」に潜むワナ

「無料です!」
「限定品」
「いまだけ特別」

そういう言葉を目にすると、すぐ欲しくなる心理が働きます。

たとえば「無料なら受けてみようかな」と、無料セッションに申し込む。

「いまだけの割引だから、すぐ申し込まないと」と、つい新しい講座を購入する。

世の中には、こうしたお得に見える情報が溢れています。でも、気を付けてください。これらの言葉が私たちの判断力を鈍らせているのです。

たとえば「無料」。無料と聞いた瞬間に“損をしない”と感じます。そして損をしないと思ったら、得るものの価値を深く考えなくなるのです。

「限定品」や「いまだけ」についても同様です。このタイミングを逃したら損をしてしまう、そのような心理が働きます。

世の中ではそういった人間の心理的行動をベースにマーケティングが行われています。当然のごとく、詐欺師もその手法を使っているのです。

そして、私たちは無料で受け取ったものに対しても「こんなサービスを受け取ったのだから、何かお返しをしないといけない」というように心の中で思うのです。

これを“返報性へんぽうせいの法則”と言います。

だからこそ、詐欺師は「いまなら無料で○○をプレゼント」あるいは「あなたにだけ特別な情報を教えます」といった餌をちらつかせるのです。

そして、人は何かをもらうとお返しをしなければと感じるため、「自分だけ得をした」「親切にしてもらった」と思わせておいて信用させたり、追加で要求をしたりするのです。

詐欺でなくても、支払った代償は大きい

すべてが詐欺的なものばかりではありません。

「無料だから」と体験講座を受講してその良さを知り、「本当に無料でよかったのかしら。なんだか申し訳ない」と思ったところで、すかさず有料講座を案内されます。

有料の講座を受けるつもりはまったくなかったのに、なりゆきで購入してしまうということはよくあります。

そう。これは、詐欺ではありません。

ですが、ここでもあなたの大切なお金は奪われているのです。

奪われているのは大切なお金だけではありません。

登録の際の情報提供、時間や手間といった形で“支払い”をしていることになります。

見えない対価を差し出していないか、自分に問いかける習慣を持つだけであなたの選択は変わります。

「無料」「限定」「いまだけ」、このどれかのキーワードを目にしたら、冷静さのスイッチもオンにしましょう。

① 無料とは何の“入り口”なのか
② 限定のもの、自分にとってなぜ必要なのか
③ いまだけ、は自分ではなく相手の都合

直感は、鍛えるほど強くなります。

自分に聞き返すだけで、「お得」の裏に隠れているものが、自分にとって本当に必要なものなのかを見つめ直すきっかけになるのです。