「転職は悪」→「転職経験なしは悪」

「転職経験がまったくない40代」は、「転職経験豊富な40代」と比べると、書類選考や面接などの選考プロセスで圧倒的に不利になります。

旧態依然とした老舗企業での勤務経験しかない人、公務員など他で通用しづらいスキルしか持っていない人、製造業など斜陽産業の経験しかない人であれば、この傾向はなおさら強くなります。

20代のうちは「過去の転職回数」が多ければ多いほど、「定着しない」「根気がない」とマイナス評価になってしまいます。その後のキャリアの道が閉ざされてしまう人もいることでしょう。それだけ、「転職は悪」と思われがちです。

その傾向は、いくら時代が変わっても同じことで、「入社してすぐ、大した経験も積まないうちに短期離職するなんてロクなもんじゃない」と考える人は多いです。

一方で、40代以降に転職を考える際には、「過去の転職回数」はなるべくゼロではない方が良い、という真逆の発想になります。

むしろ、中途採用に積極的な会社であればあるほど、「転職経験なしは悪」と考える傾向が強いです。

採用検討時に過去の転職経験に応じて、

「この歳で転職未経験者を雇うのは、さすがに入社後のミスマッチに不安が残る」
「この人は転職3回目だし、業界や職種が変わっても馴染めるタイプなんだな」

と思われるということです。

50代でリストラ対象になったら絶体絶命

20代だと、「転職回数3回以上の人はお断り」と、何度も転職している人はあっさりと足切りされてしまうのに、40代になると逆に「転職経験ゼロの人はなるべく雇いたくない」と敬遠される対象になるのは、なかなか皮肉なものです。

この状況を避けたいと思うのであれば、やはり、一刻も早く、まだギリギリ間に合ううちに「転職経験」を積んでおくしかありません。

黒字決算が何年も続いていても、過去最高益を記録していても、大規模なリストラを断行する会社が次々に出てくる時代です。「うちの会社は大丈夫」なんて思ったまま50歳を過ぎると、今度こそ本当に転職は不可能になってしまいます。

ベンチに座っている落ち込んだビジネスマン
写真=iStock.com/metamorworks
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