退職代行サービスの利用者が増える中、最大手企業にある疑惑が持ち上がっている。ビジネスコンサルタントの新田龍さんは「民間業者が許されている業務は『代わりに退職意志を伝える』のみだが、実際は法的な線引きが曖昧になっている」という――。(第1回/全2回)
家宅捜索のきっかけは公益通報
退職代行サービス最大手「モームリ」を運営するアルバトロスに対し、警視庁が弁護士法違反容疑で家宅捜索を実施した。
モームリは、正社員の場合は2万2000円、パートやアルバイトの場合は1万2000円で退職代行を請け負い、公式サイトによると、累計で4万件以上の退職を確定したという。
「ブラック企業からの救済」を掲げ、個人向けには退職代行、法人向けには離職率低下のコンサルティングサービスを提供する同社だが、同社を離れた元従業員からは、内部での各種ハラスメント横行、杜撰な情報管理体制、社会保険未加入問題、公益通報者保護法違反など、労務コンプライアンスが著しく損なわれていた実態が次々に告発されている。
今回は、同社の非弁行為を公益通報したことを理由に、モームリから恫喝訴訟を受けている元従業員との独占インタビューを基に、退職代行ビジネスの問題点と、モームリの赤裸々な内情を詳説する。
「非弁行為」の何が問題?
2025年10月下旬、警視庁は退職代行「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(東京都品川区・以下「同社」)の本社や関係先に対し、弁護士法違反(非弁行為)の疑いで家宅捜索を実施した。同社は退職を希望する依頼者から報酬を受け取り、依頼者を弁護士に斡旋することで紹介料を得ていた疑惑が指摘されている。
「依頼者からお金をとって退職代行サービスを提供し、必要に応じて弁護士に依頼者を紹介するって普通のことじゃないの? なんでそれが法律違反なの?」
と思われた方がおられるかもしれない。ではまず簡単に、退職代行サービスの仕組みと、サービスを取り巻く法律について解説しよう。

