親は子供が健やかに成長できるよう、安全で安心できる環境を整えようと努めている。しかし、「幸せな家庭」とは一体何を意味するのか。
本誌が、子供の心理を専門とする心理学者に取材を行ったところ、家庭における幸福はおもちゃや服、ガジェットといった物質的な所有ではなく、愛情、明確なルール、そして一貫した日常の中で育まれるものだという。
「幸せな家庭は、物理的な快適さや安全性だけで成り立っているわけではない」と、教育心理学の上級専門家であるサーシャ・ホール博士(Dr. Sasha Hall)は語る。
彼女と、自閉スペクトラム症や行動面での課題に向き合う子供とその家族を支援する臨床機関で所長を務めるスチュワート・ピセッコ博士(Dr. Stewart Pisecco)は、子供が「幸せな家庭」で育っていると感じられる明確なサインを紹介している。
1.愛情に条件がないこと
イギリス出身のホール博士は本誌に対し、次のように語っている。「愛情が行動によって左右されない『無条件のもの』だと感じさせる必要がある。感情的に安心できる環境があることで、子供は気持ちを表現し、失敗し、それでも人間関係は修復できると学ぶことができる」
そのためホール博士は、「こんなことをしたら、もう愛さないよ」といった言い回しは避けるべきだと助言する。たとえルールや境界線があっても、愛情は変わらないという安心感を与えることが大切なのだ。
2.明確な境界線があること
テキサス州ヒューストンを拠点とする臨床心理士のピセッコ博士は、「子供が親の決めた限界やルールに反発しようとするのは自然なことだ」と語っている。
ピセッコ博士は、親に対して「事前に対応を考えておくこと」、そして「一度にひとつのルールに集中して、一貫して守ること」を勧めている。最初は子供が反発する可能性が高いが、それでも親は「冷静さを保つべきだ」と強調する。
「親が決めた限界を子供に試されると、どうしてもストレスを感じて感情的になりがちだ。でも、あらかじめ対応を決めておけば、子供にとっても予測可能な状況を作れるし、何より親自身が混乱の中でも落ち着いていられる」と語っている。

