菅直人元首相が8月12日、東京地検に任意の事情聴取を要請され、拒否していたことが明らかになった。
菅氏は、東京電力福島第一原発事故で、誤った対応をしたとして業務上過失傷害などの容疑で刑事告発されている。菅氏は聴取に応じない代わりに、容疑を否認する意見書を検察に提出する。
菅氏は首相当時の事故対応について、国会で「一切問題なかった」と繰り返す一方、参院選期間中にもかかわらず、安倍晋三首相が2年前にブログで菅氏の事故対応を批判したことを「悪質な名誉棄損行為」として提訴するなど、みずからの正当性を躍起になって主張している。
「訴えられた首相は“弁護士に任せており、相手にしない”と周辺に漏らし、マスコミには一切コメントしていない。これについて菅氏は“まともに答えられないから黙っている”と批判しているが、自分は検察の聴取を拒否しておいて、首相の対応を批判できるのか」(首相周辺)
検察関係者によると、今回、検察が菅氏に事情聴取を要請したのは「検察審査会を意識したから」という。
「告発は受理したものの、首相が事故対応を誤り、その結果事故につながったことを立証することは事実上不可能で、今秋にも菅氏らは不起訴になる模様だ。とはいえ、国民は当時の首相官邸の対応に今も強い不信感を持っており、検察が菅氏を不起訴にしたら検察審査会が“不起訴不当”を議決する可能性がある。そこで検察としては“首相本人にも事情聴取を求めたが本人が応じなかった。検察はやるだけやった”という言い訳をする必要があったのです」(検察関係者)
トラブル続きの菅氏は、参院選で無所属候補を支援し、民主党から「党員資格停止三カ月」の処分を受け、現在は政界でも謹慎中の身。民主党代議士が言う。
「民主党執行部はもともと、菅氏に議員辞職勧告と除名処分を行う方針だった。輿石東参院議員会長らが“党の混乱は避けるべきだ”と反対したため断念したが、党内には“やはり除名しておくべきだった”という不満がくすぶっている」
8月10日の菅氏のブログのタイトルは「絶滅危惧種」。菅氏は民主党を“絶滅”から救えるか。無論、その前に自身が政界で生き残るほうが先決だが。