まずは体験「採算度外視のイベント」
仙台の街が、位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」によって、RPGゲーム「ドラゴンクエスト」の世界に様変わりした。参加者は「スライム」「カンダタ」などの可愛いモンスターと触れ合いつつゲームを楽しみ、仙台の街を存分に散策した。
どうやらこのイベント、主催者だけでなく、仙台市も相当に乗り気だったようだ。「ゲーム会社と自治体のコラボ」がなぜ実現したのか? 「採算は度外視」というゲームイベントを、なぜ年2回も開催するのか? スクウェア・エニックス執行役員・柴貴正さん(以下「柴プロデューサー」)や、仙台市観光戦略課に、いろいろとお話を伺う……。
その前に、遊んじゃえ! まずは、ゲームの世界と現実世界がリンクした仙台市でのイベントを、3万歩を歩いて体験してから、考察を始めよう。
2025年11月1日・2日に開催された「ドラゴンクエストウォーキング vol.5 仙台」のメイン会場は、仙台市郊外の球技専用競技場「ユアテックスタジアム仙台」と、隣の「やまいちサステナパーク七北田公園」に設営された。
このエリアで「ドラゴンクエストウォーク」をプレイする場合は、各チケットを事前購入したうえで、スタジアム内にある1カ所目のスポットをゲーム内でタップ。ここから、スタジアム隣の「やまいちサステナパーク七北田公園」などに点在する計6カ所のエリアを歩いて巡り、報酬としてゲーム内のアイテムを受け取る。
3万歩を楽しく歩かせる仕掛け
イベント当日の楽しみは、これだけではない。スタジアム内では「ドラゴンクエストIX」に登場した宿屋の娘「リッカ」が、ゲームと同様にぶんぶんと手を振って出迎えてくれたり、ゲーム内ではおなじみ「キラーマシン」「キングスライム」などのモンスターがリアルに出現する。スタジアムと一帯が、みごとに「ドラゴンクエスト」の世界に変わっているのだ。
他にも「あらくれ」のように風船をくれたり、盗賊「カンダタ」が仙台の美味しいご飯を紹介してくれたり、「ドラゴンクエスト」には間違いなく登場しない伊達政宗まで愛想を振りまいていたり……世界観が“ごちゃまぜ”ではあるが、これが「ドラゴンクエストウォーク」ならでは、と言えるだろう。
また、スタジアムはサッカー・J2リーグ「ベガルタ仙台」の本拠地とあって、サッカー関連グッズ・スタジアムグルメの販売も充実。七北田公園は100万都市の近郊とは思えないほどに空気が清く、うっすら色づいた紅葉を眺めながら散策……しているうちに、日常生活ではまず移動しないであろう「3万歩」を歩き、楽しく脂肪を落とした。





