約3万人を動員、ホテルや新幹線も満杯に

「ドラゴンクエストウォーク」は過去4回(大阪・山梨・熊本・北海道)のリアルイベントを開催しているが、今回は初めての試みとして、仙台市中心部の商店街とタイアップの上で、関連イベント「ドラゴンクエストウォーク秋祭り」を開催した。

仙台市内の商店街でのスタンプラリー台紙
筆者撮影
仙台市内の商店街でのスタンプラリー台紙

商店街では、「ハピナ名掛丁商店街」内にあるゲームセンターでスタンプラリーの台紙を受け取り、メタルスライムなどと記念撮影を行いながら、6カ所のスポットを巡る。こちら午前中は参加者が少なかったものの、メイン会場から参加者が移動した午後にはかなり混み合い、ゲームプレイと散策を楽しむ人々で、6カ所のアーケード街は一杯に。

なお筆者はここで、「ゴーレム」型の自動販売機まわりで遊び倒したところ、知らない間に1万歩以上を歩行。ただし、仙台名物「北京餃子」と大皿の「広東焼きそば」(あんかけ焼きそば)を爆食したため、カロリー的にはどっこいどっこい、といったところだろう。

仙台名物「北京餃子」とスライム
筆者撮影
「ドラゴンクエストウォーク」では、モンスターとAR撮影ができる。写真は仙台名物「北京餃子」とスライム

商店街の約50店舗は特典があり、画面を提示しながら「パルプンテ!」(何が起こるか分からない呪文)を唱えると、「ステッカー進呈」「サービス割引」など、ちょっとしたおトクを享受できる。スタジアムだけでなく、街の人々も経済効果を享受できるように、と始まった試みだ。

仙台市での「ドラゴンクエストウォーク」イベントには、商店街も含めると、約3万人の人々が訪れたという。期間中はホテルや新幹線が満杯となり、商店街買い巡りなどで仙台の街に賑わいをもたらしつつ、無事閉幕した。

大盛況なのに「採算は度外視」

イベントを主催した「スクウェア・エニックス」によると、メイン会場に入るチケットは発売後・即完売。グッズ販売にも長蛇の列ができて、売り上げも相当なものがあったという。

「ドラゴンクエストウォーク」柴貴正プロデューサー
筆者撮影
「ドラゴンクエストウォーク」柴貴正プロデューサー

「ドラゴンクエストウォーク」でのリアルイベント開催は、ここまで年2回ペース。半年前から準備を始め、社員も多く出勤する「会社総がかり」のイベントとあって、よほどの利益を得られるのでは? と、柴プロデューサーに聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

「このイベント、採算は度外視です」

どうやら、スクウェア・エニックス的には金銭的な損失が大きく、会社の運営にかなり負担がかかるもののようだ。よく考えたら、「ファイナルファンタジー」「キングダムハーツ」などファンの多いコンテンツを抱えるスクウェア・エニックスが、その一角である「ドラゴンクエスト」のスマホ版として派生した「ドラゴンクエストウォーク」のイベントを、社を挙げて支援……なぜそこまでするのだろう?