日本人の多くが疲労を感じている。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんは「日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、先進国の中で最下位だ。疲れたまま働くことで生産効率が下がり、経済が伸びず、給料も上がらない、という悪循環に陥っている」という――。

※本稿は、梶本修身『世界一眠らない日本に疲労専門医が伝えたい お疲れ日本人の本当の休み方』(Gakken)の一部を再編集したものです。

疲れ果てたアジアのビジネスウーマン
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「疲労大国」ニッポンの謎

日本人といえば、休みなく働いていて、常に勤勉……というイメージがあるかもしれませんが、実は日本人の労働時間は、世界各国と比較して、それほど長いわけではないのです。

とくにコロナ禍以降は、在宅ワークなどの働き方の多様化が進んでいますし、すっかり当たり前になったネットショッピングや食事の宅配サービスも、忙しい日々をサポートしてくれています。

本来は、以前と比べてラクになったと感じる人が増えてもおかしくないはずです。

それなのに、80%の日本人が「疲労している」という調査もあるほどです。疲れている日本人がいっこうに減らないのは、どうしてなのか。

そこにはもちろん、スマートフォンの普及や気候変動など、現代特有のさまざまな要因も考えられるでしょう。

しかし、「日本人ならではの原因」も大きく関わっているのではないか、という私個人の見解から、「日本人の休み方」を考えてみました。

「仲間外れになりたくない」が負担に

私が考える、疲れを招く「日本人ならではの原因」とは、「所属重視文化」と「もったいない精神」です。

まず「所属重視文化」。日本人は、とにかく孤立を嫌がる傾向があり、何かしらのコミュニティに属することを非常に好みます。会社や学校はともかく、習い事やママ友など、仕事以外でもどこかのグループに参加しているという人が多いのではないでしょうか。

その気持ちは、子どもへの叱り方にも表れています。

海外では子どもに反省させるときは「家に閉じ込める」のが罰であるのに対し、日本では「出ていきなさい」ということが多い。つまり、コミュニティから外れることが脅威なのです。

大人になっても「仲間外れになりたくない」という意識が根強く、特定の人間関係の中に、無理してでもいようとします。そのストレスが知らず知らずのうちに脳への負担となり、疲労につながっている可能性があると思います。