部下のやる気を上げるにはどのようなほめ方がよいか。編集者の藤吉豊さん、小川真理子さんが書いた『「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)から紹介しよう――。

ほめて伸ばす

「部下をほめる」Point
1「具体的に」「人前で」「本気で」ほめる
2 ほめすぎには注意する

リーダー本100冊のうち28冊が「部下をほめる」ことの大切さについて触れていました。

「若い時は人づきあいが下手で有名だったベンジャミン・フランクリンは、後年、外交的な技術を身につけ、人を扱うのがうまくなり、ついに、駐仏アメリカ大使に任命された。彼の成功の秘訣は『人の悪口は決して言わず、長所をほめること』だと、自ら言っている」(D・カーネギー『人を動かす【改訂文庫版】』/創元社)

ちなみに、ついとなる「叱る」の重要性に触れていたのは、約半分の13冊です。

マーカーが引かれた「Leadership」の文字
写真=iStock.com/Devonyu
※写真はイメージです

「ほめて伸ばす」vs「叱って伸ばす」

リクルートワークス研究所が「1000人以上の従業員規模の課長級管理職」「29歳以下・正規社員の部下を1名以上持つ者」を対象として実施した調査でも、以下のような結果でした。

「職場の部下を褒めたり、たたえたりする機会
● 毎日のようにあった……11.7%
● 週に数日程度あった……29.9%
● 週に1日程度あった……25.0%

職場で部下を叱責する機会
● 毎日のようにあった……2.0%
● 週に数日程度あった……5.4%
● 週に1日程度あった……10.8%」
(出典:リクルートワークス研究所「大手企業マネジャーの75%が『若手が十分に育っていない』と悩んでいる」2023年4月26日)

この調査結果を受け、リクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗ふるやしょうとさんは、『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』(日経BP 日本経済新聞出版)で次のように書いています。

「10数年前までは逆だったのでは? とも感じてしまうが、お伝えしたいのは日本のマネジャー―若手のコミュニケーションスタイルは、“叱責型” から“褒める型” に移行しつつあることが調査結果からも示されていることである」

現代のリーダーは、「叱る」より、「ほめる」を重視していることがわかります。