※本稿は、望月安迪『コンサルタント3年目までの必修ビジネススキル』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「読み上げ」「丁寧な説明」では相手の心は動かない
僕がマネージャーだった頃、クライアントからこう指摘されたことがあった。
「役員の○○さんに向けて、資料をそのまま説明しちゃだめだよ。そんなんじゃ伝わらない」
「資料を説明する」とは、スライドに書かれたテキストをそのまま読み上げたり、「図表のこの部分は□□、このページの結論は△△です」と、資料の内容を書いてあるままに伝えることだ。それでは相手は、資料を音読されているようにしか感じられない。決して、そこに込められた意味は伝わらない。
「資料を説明しちゃいけないのか……じゃあどうすればいいんだろう」と僕が思っていると、次のアドバイスをいただいた。
「資料“を”説明しちゃいけない。資料“で”説明するんだよ」
それは、スライドはあくまで思いを伝えるための手段として活用し、そこに込められた真意を語ることに集中をせよ、という教えだ。スライドに載っている図解やテキストは、あくまで聞き手の理解を深める道具だ。
それを使って、プレゼンター自身の言葉で、思いを込めて伝える。そうすれば、聞き手も無機質な“スライドの内容”ではなく、“1人の人間の思い”として聞いてくれるようになる。そうすれば互いの理解も関わり合いも、より深まる。
評価を上げる人は「求められていること」に応えている
この言葉をきっかけに、プレゼンテーションの本質について考えるようになった。
僕らが資料を作るのは、ただ読み上げるためではない。自分の“伝えたいこと”を相手に届け、判断を促し、行動を引き起こすことが目的だ。スライドは、その内容を相手に届ける“手段”に過ぎないのだ。
プレゼンテーションでよくある失敗が、相手が聞きたいことではなく、資料を読み上げるなど自分の話したいことをひたすら並べてしまうことだ。プレゼンの内容に抑揚が失われ、説明が長引くのはもちろん、一方的に情報を押しつけられた相手からは疑問を抱かれてしまう。
こうした失敗に対して僕がフィードバックするのは、「それはサプライヤーロジックだよ」ということ。供給者目線に陥ってしまい、顧客目線に立てていない姿だ。
プレゼンテーションで大切なのは、“何を届けるか”の前に、“何を相手が求めているか”を考えることにある。高額なフィーで雇ったコンサルタントに対して、クライアントは当然「自分の知らない新しい発見」や「意思決定のための示唆」を期待している。
関心がないことを延々と聞かされるクライアントの頭の中を想像してみよう。
・「知りたい疑問は○○なんだけど、それはどこで出るんだ?」
・「この内容って当たり前だよな……、もっと新しい情報はないのか?」
・「わかり切ったことをそんなに説明しなくていいのに」
・「ここは資料を見ればわかるから、早く先に進めてくれないかな」

