参列者ならいざ知らず、喪主側として関わることはほとんどない「葬儀」。いざというときに慌てず、悪徳業者を見抜いて後悔のない葬儀にする方法とは。

葬儀会社と遺族の間には大きな「情報格差」がある

喪主を務めた経験はあるでしょうか。多くの人にとって、人生に一度か二度というのが普通で、一度も経験したことがない人も少なくないでしょう。

また、日常では「死」に関する話題はタブー視されがちで、生前から準備をしたり、情報収集したりする機会は多くありません。このため、葬儀会社と遺族(消費者)の間には大きな「情報格差」が存在します。

この情報の偏りが費用に関する不透明さを招いています。何にいくらかかるのか、相場がわからないため、悪徳業者に引っ掛かったり、葬儀会社から不必要なオプションを薦められたりして、不利益を被ることがあるのです。

家族との別れは突然訪れます。遺族は悲しみが癒える間もないまま、限られた時間内で葬儀会社選びを含めた多くの決断を迫られることになります。慣れない状況に戸惑う中、追い立てられるように判断を下した結果、「もっとこうしておけばよかった」と後悔することになってしまうのです。

そうならないよう、葬儀に関する最低限の知識や葬儀形式ごとの費用の相場、葬儀会社を見極めるポイントを押さえておくことはとても大切です。急に「そのとき」が訪れたときも慌てず、冷静に判断できるように備えておきましょう。

葬儀の規模は縮小傾向 「直葬」なら7万円から

かつては、葬儀といえば家族や親戚、仕事の関係者や友人、ご近所の人まで、社会的なつながりのある人が数多く参列するのが一般的でした。ところが近年では、葬儀の形式が多様化し、大規模な葬儀は減少傾向にあります。高齢化や核家族化で人間関係が薄れていることやコロナ禍の時期に人が集まることへ制限がかかったことなども葬儀の規模縮小に拍車をかけています。

一方、葬儀の形が多様化したことで、遺族は「自分たちに合った葬儀の形式」を選びやすくなったともいえます。葬儀の形式に明確な定義はないですが、大きくは大勢の方が参列する従来型の「一般葬」、家族やごく親しい親族・友人だけで執り行う「家族葬」に分けられます。家族葬の中でも形式はいくつかに分かれ、従来通りに通夜・告別式から火葬までを2日間で行うものもあれば、通夜を行わずに告別式と火葬のみを1日で行う「一日葬」、宗教儀式を行わず火葬のみで弔う「直葬」もあります(下図参照)。

どの形式を選ぶかは自由ですが、最近は徹底したシンプルプランを希望する人も増えたので、直葬だけに特化した葬儀会社も出てきています。直葬の場合は「とにかく安く済ませること」が価値になるので、中には7万円台から提供している会社もあります。その代わり、内容は葬儀に最低限必要な「棺、搬送料、遺体安置料、骨壺」だけである場合がほとんどということは認識しておきましょう。

また、葬儀については地域性もあり、関西や沖縄は葬儀にかける費用は抑えめである一方、東北や名古屋周辺ではお金をかけて故人を送る傾向にあります。これは葬送の儀礼の文化が違うためで、地域の相場を参考にしたい場合は葬儀会社に確認してください。

一般葬と家族葬の相場は「都心の坊主」は高い?

では、どのような視点に立って葬儀の形式を選べばいいのでしょうか。まずは「故人の意向」を確認しましょう。生前に「家族だけで静かに送ってほしい」などと話していたかどうか、遺言書、エンディングノートに希望が書かれていないかなどをチェックします。同時に「故人が生前に築いた交友関係」も確認してください。交友関係が広かったにもかかわらず家族のみで葬儀を行うと、後から訃報を知った人たちが次々に弔問するなどして大変なことになりかねないからです。