うちは資産がないから関係ない――。そう思っている家庭は要注意。不動産価格の高騰と新法で、いま多くの家庭に想定外の相続税問題が起きている。

資産が少ない家庭でも相続税が発生する事態に

最近、相続に関するご相談が以前よりも急増しています。その背景には、大きく分けて2つの要因があります。

一つは、都心部を中心に続いている不動産価格の高騰。そしてもう一つは、2024年1月1日に施行された贈与税のルール変更です。これらの変化が、これまで相続とは無縁だと思っていたご家庭にまで影響を及ぼし、思わぬトラブルを引き起こしています。

まず、問題の一つが、「想定外の相続税の発生」です。相続税には、国が定めた基礎控除額があり、この金額までは税金がかからない仕組みになっています。

この基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)」という計算式で算出されます。たとえば、配偶者と子ども2人が法定相続人となる場合、基礎控除額は「3000万円+(600万円×3人)=4800万円」となります。

しかし、首都圏の都市部にマンションや戸建てを所有されているご家庭であれば、土地の評価額だけで、ほぼ間違いなくこの基礎控除額を超えてしまうようになりました。土地のほかに預金が1000万円ほどあれば、相続税の申告が必要となるケースがほとんどです。

実際に、5年ほど前に相続税を試算した方が、いざ相続が発生して改めて計算し直したところ、想定していた相続税額が2倍近くに膨れ上がっていて、納税資金が足りなくなってしまったという事例もありました。地価の高いエリアにお住まいの方ほど、こうしたリスクは顕著になります。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。その根本的な原因は、相続税の計算で使う土地の評価額の基準である「路線価」が、年々上昇し続けているからです。

路線価は毎年国が定めますが、地価の上昇を反映し、ぐんぐん上がっています。以前であれば、「うちは資産家じゃないから相続税は関係ない」と思っていた家庭も、気がつけば土地の価格が上がり、相続税の課税対象者になっていたという事態が頻発しています。

都内23区はもちろん、最近では埼玉や神奈川といった首都圏の都市部で地価が上がっており、もはや相続税は一部の富裕層だけの問題ではなくなっているのです。

さらに、不動産が絡む相続では、きょうだい間のトラブルも増えています。