※本稿は、溝口徹『腸の不調がなくなる「小麦」の抜き方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
なぜ、毎日食べている小麦を抜かなければならないのか
私のクリニックでは、「心身の不調には栄養の不足やトラブルがかかわっている」とする「オーソモレキュラー栄養療法」をおこなっています。治療の際には不足している栄養素を補うのと同時に、食事指導をおこないます。
その際、すべての患者さんにお願いしているのが「小麦」を抜くこと。
私たちのまわりには、パンやパスタ、ラーメンやうどんといった主食から、ケーキやクッキーなどの嗜好品まで、たくさんの小麦製品があふれています。「なぜ、毎日食べている小麦を抜かなければならないのか」と驚く患者さんがほとんどです。
しかし、どんなに体にいい栄養素を摂っても、消化・吸収されなければ意味がありません。この消化・吸収の妨げになるものこそが「小麦」なのです。
下痢や便秘、腹痛を繰り返す、おなかにガスがたまってしまうといった人は、小麦が原因で消化・吸収のトラブルが起きている可能性があります。さらに、小麦は次のようなさまざまな不調とのかかわりも指摘されています。
・疲れがとれない。常にだるい
・頭痛や肩こり、関節痛がある
・つい食べすぎてしまう
・食後に膨満感や胃もたれがある
・花粉症、アトピー、ぜんそくなどのアレルギーがある
・ニキビや肌荒れがある
・イライラする。集中できない
それだけではありません。私のクリニックでは、うつや発達障害と関係しているケースもあります。小麦は腸だけでなく、全身の不調とかかわっているのです。
「小麦不調」の原因として知られているのが、小麦に含まれている「グルテン」です。そこで欧米では2010年代に入ってから、グルテンを避ける「グルテンフリー」という食事法が注目され、広がりはじめました。
当初はハリウッドセレブやアスリートが実践する食事法として知られていましたが、日本では2015年に、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手の本『ジョコビッチの生まれ変わる食事』が出版されたのをきっかけに流行。今ではスーパーでもグルテンフリー食材が手に入るようになり、より身近になっています。

