※本稿は、溝口徹『腸の不調がなくなる「小麦」の抜き方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
小腸内の細菌バランスの乱れからはじまる不調
「フルクタン」は、小麦に多く含まれるフルクトースという果糖が複数結合したもので、多糖類の総称です。
小麦の問題としてグルテンについては広く知られるようになりましたが、フルクタンについてはまだ一般的にはあまり知られていません。だからこそ、グルテンよりもフルクタンのほうに、より注目が集まっているのです。
フルクタンは、過敏性腸症候群のような症状を引き起こす原因になることが知られています。そして、過敏性腸症候群になっている人の多くは、「SIBO(シーボ)」を併発しているといわれています。というより、過敏性腸症候群と考えられてきた人のなかの多くがSIBOであったという報告もあります。
SIBOとは、小腸内細菌異常増殖症のこと。文字通り小腸で細菌が異常に増殖してしまうことで起こる病気で、おなかの張りやガスがたまりやすい、おならが出る、下痢・便秘、胃酸の逆流など、多くの腹部の不快症状があります。
大腸には約1000種類、100兆個もの腸内細菌が存在しています。それに対して小腸は栄養を吸収する場所であるため、大腸ほどの多くの細菌は存在していません。
そもそも大量の細菌を存在させるような場所ではない小腸に、細菌が過剰に増殖してしまえば、おなかの張りやガスの発生、下痢や便秘などの症状が出てきてしまうのは当然といえます。
では、なぜ小腸に細菌が増えてしまうのでしょうか。その原因はいくつか考えられますが、私が注目しているのは、胃酸の分泌不足です。
胃酸には、小腸の細菌の侵入を防ぐ作用があるほか、小腸内の細菌を殺菌する作用があります。ところが、胃薬の服用やストレスなどで胃酸が少なくなると、小腸の細菌は増えてしまいます。

