生成AIには不得意分野と得意分野があります。不得意なのは、「この銘柄は上がるか?」といった株価予測や、ネット上から最新情報を直接探してまとめることです。精度は非常に低く、銘柄選定にはほとんど使えません。

一方、得意なのは「資料を読み込ませて要約すること」「専門用語をわかりやすく説明すること」などです。投資家としては「分析のとっかかり」という一番厄介な部分を助けてくれる、大変有効なツールです。

私の場合、銘柄分析ではまず有価証券報告書や決算説明資料を5年分ほどダウンロードし、それらを生成AIに読み込ませます。そして、「対象企業のビジネスモデル」「過去の業績推移」「投資リスク」「成長戦略」といった情報を整理してもらいます。

2024年末ごろから生成AIを利用するようになり、25年3月、福岡証券取引所に新規上場した不動産関連企業・パパネッツの購入を検討しました。当時の株価は910円前後で、PERは5倍程度、時価総額は約20億円。指標面からは極めて割安に見える超小型株でした。しかし、分析を進めようとすると、情報の少なさに驚かされました。四季報には未記載で、マネックス証券の銘柄スカウターにもデータはほとんど反映されていません。通常であれば、「分析に手間がかかりすぎる」と判断して、見送っていたところです。

そこで、同社の上場関連資料や決算資料をAIに読み込ませ、要点を整理・構造化してもらいました。それによって、事業の収益の柱、同社の競争優位性といった企業の構造的理解が、スムーズに得られるようになりました。特に、不動産管理サポート事業においては、参入障壁の高いニッチ市場を確保していることがわかりました。

購入すると、約4カ月で株価は約3倍に上昇。情報優位性が成立する「仕込み段階」において、生成AIは強力な武器になることを実感しました。

詰めこみすぎたAIに「忖度」をさせないコツ

今はまだAIを活用している個人投資家は少数派ですが、その差は情報収集や分析スピードに表れています。生成AIを使えば、情報収集スピードが速くなり、特に多銘柄を追う投資家にとって、時短効果は分析本数の差や機会損失の減少につながります。

また、自分の思考枠組みとは異なる角度から意見を提示されることも魅力です。私は投資仲間とディスカッションするかのように、生成AIと銘柄分析の意見をぶつけ合うことがあります。それによって、自分では見つけられなかった市場の優位性をあぶり出す効果があります。

一方で、注意すべきデメリットも存在します。1点目は事実とは異なるもっともらしい情報を作り出してしまう「ハルシネーション」です。生成AIへの指示が具体的であるほど、活用する資料がはっきりしているほど、ハルシネーションの発生頻度は低くなると感じています。しかし、それでもなお生成AIから得た情報は、裏取りすることが不可欠です。

2点目は、「忖度」です。私自身の思考や投資思想をインプットしすぎることで、生成AIがその枠組みに過度に引きずられ、偏った判断を下す可能性があるのです。このリスクを避けるため、私はチャットGPTの助けも得ながら作成した銘柄分析レポートを、投資手法のメモリー機能を活用していない生成AIにもチェックさせます。そして、まずは通常の見解を聞き、その後で批判的な立場からの見解を求めるようにしています。こうすることで自分の思考に偏った分析だけでなく、異なる視点や反論を取り入れられ、よりバランスの取れた判断が可能になると考えています。