「価格破壊」と騒いだのは昔の話

現在、わが国の経済は、物価が下落する“デフレ”から、物価が上昇する“インフレ”へ変わりつつある。

1990年代後半から、わが国は景気の低迷もあり、“価格破壊”などと言われるような物価下落=デフレが続いた。その後、2015年から2021年まで、わが国の消費者物価の総合指数は年率0%近傍で推移した。

それが2022年、前年比2.5%に跳ね上がった。昨年7月の消費者物価は前年同月比3.1%上昇した。品目別に、コメの価格が同89.9%上昇するなど食料、日用品の値上がりペースは急だった。

財布をひっくり返して小銭を出している人
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モノの価値は上がり、お金の価値は下がる

インフレは、わたしたちの日々の暮らしに大きな影響をもたらす。主要都市では不動産価格の高騰が鮮明だ。物価が上昇するに伴い、わが国の金利にも上昇圧力がかかった。預金金利を引き上げる銀行も増加傾向にある。コスト増などにより倒産する企業も増えた。

当面、わが国のインフレ環境は続くだろう。消費者の心理も変わりつつある。人々の心理は「これから物価は上がるだろう」とのインフレマインドに切り替わりつつある。それに伴い、金利上昇圧力も強まるだろう。

インフレは、基本的にお金の価値が下がることを意味する。物価の上昇に加えて、株式や不動産などの実物資産の価格は上がりやすくなる。私たちは発想の転換が必要になるだろう。