海外向けにお菓子のサブスクを提供するスタートアップ企業「ICHIGO」は、社員約100人のうち外国籍の社員が7割以上を占める。日本では珍しい多国籍な企業にした理由は何か。創業者の近本あゆみさんに話を聞いた――。(第2回/全2回)
お客さんのSNS投稿が最高のPRに
招き猫や新幹線などポップなイラスト入りのビビッドな色のボックスに、ぎっしり詰まったカラフルなお菓子の袋。毎月、日本の駄菓子やスナック菓子が届くサービスが「TOKYOTREAT」だ。
ボックスを受け取った海外のファンがいち早く、最新のお菓子の「推し」の画像や動画をインスタグラムやTikTok、YouTubeなどに投稿する。その投稿が拡散し、新たなユーザー獲得へとつながる。
売上は2015年のスタートから6年で40億円を突破し、現在も順調に伸ばしている。利用客は20~50代で女性が8割。187カ国にわたる販売先はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアが多く、欧米で全体の9割近くを占めるが、アジアや中東、アフリカにも広がる。
海外の人に「刺さる」ための人材登用
SNS上での販促のために、SNS映えする箱のデザインと詰め合わせるお菓子のセレクトは、最重要課題として常に意識している。
そのため、海外の人たちの好むインパクトのあるデザインや英語でのSNSの展開は、日本通の外国人社員が担当する。従業員約100人中6~7割を外国人が占める、日本企業ではめずらしい職場になっている。
「海外向けのビジネスなので、デザインにしてもマーケティングにしても、日本人の感覚ではどうしても通用しません。最初は外部の日本人デザイナーにウェブデザインなどお願いしたこともあったのですが、説明が多くてウェブを見た外国人の反応が良くなかったのです。むしろ、パートナーが制作したシンプルなデザインのほうが受けが良かった。日本人が外国企業の広告に違和感を持つのと同じ理由です。それからは、デザイナーやカメラマンなど制作スタッフやマーケティング、カスタマーサポートは外国人社員が担当しています」


