白米が病人を増やした歴史上の証拠がある
皆さんが健康を維持するため、日常の食生活で、当たり前のように摂取している食品の数々ですが、実は、その中には、「健康を害するリスク」のある食品も多く含まれていることを、ご存じでしょうか。それに、「1日3食をしっかり摂る」といった、これまでの健康の常識にも、「フェイク情報」が少なくないこともわかってきました。そこで、最新のエビデンスに基づいて、「日本人の食事の常識」のうち、何が「間違っている」のか、「正しい新常識」とは何かを検証してみましょう。
世間をいま騒がせている、米不足と米価高騰による「令和の米騒動」は、政府が備蓄米放出といった手を打っても、なかなか収束しないようです。全国的な空梅雨や猛暑続きなどの影響もあって、2025年の新米も生産量が少なく、「米価が下がる見通しが立たない」といった観測も広がっています。しかし、皮肉にも米不足が「日本人の健康増進」に役立つかもしれません。
まず注意するべきは、米騒動での「米」とは一般に、精米された真っ白な「白米」を指しているということ。皆さんが「米」と聞いて、思い浮かべるのも白米でしょう。しかし、ひと口に米と言っても、精米する前の「玄米」、白米にヒエ、アワ、麦などを混ぜ込んだ「雑穀米」といった、いくつもの種類があります。その中で健康上、問題視されているのが、白米なのです。それに対して、後ほど説明するように、私は、玄米を完全栄養食、「スーパーフード」だと考えています。
私たち日本人は、米食の文化を営々と継承し、食事で「ご飯を一粒たりとも残してはいけない」としつけられてきたように、根強い「米信仰」を抱いています。日本人の「米離れ」が長らく囁かれ、政府や生産者が米の消費拡大キャンペーンに力を入れてきた影響もあるでしょう。例えば、農業協同組合は、米の主成分である炭水化物(でんぷん)について、でんぷんが分解されたブドウ糖が、「脳の唯一のエネルギー源で、不足するとイライラしたり、判断力が鈍ったりする」といった啓発活動を展開しています。
しかし糖質は必須栄養素ではありませんし、脳は糖質以外に脂肪を分解したケトン体も利用することができますので、間違った食事法で米を食べると、健康上の効果が得られないどころか、マイナス効果をもたらします。実は、すでに「白米が病人を増やしていた」という、歴然たる証拠もあります。
昔は米が貴重品で、精米技術が発達していなかった頃は、上流階級しか白米を日常的に食べられませんでした。現在の日本人も白米を好んでいますが、単なる「憧れ」だけではなく、白米に私たちを魅了する魔力があるからでしょう。白米を食べると、すぐに「多幸感」を得られますが、白米由来のブドウ糖が、脳の報酬系を活発化させ、お金を稼いだり目標を達成したりしたときのような興奮を得られるためと考えられています。
白米が一般に普及したのは江戸時代、元禄年間頃と言われていますが、その半面、江戸の将軍や大名、武士などを悩ませた「江戸患い」も生み出しました。地方にいたときは元気だった大名の家臣が、「江戸勤番」になると罹患してしまうので、そう呼ばれたとのこと。最初は「脚気」になり、悪化すると「脚気衝心」ともいう心不全まで引き起こしてしまいます。
江戸患いの原因は栄養失調、「ビタミンB1の不足」でした。玄米はビタミン、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維などが豊富なのですが、精米の過程でビタミンB1、ミネラル、食物繊維などの含有量が20〜25%程度に減ってしまいます。ウナギの蒲焼き、大豆といったビタミンB1を多く含む食品を食べていれば違ったでしょうが、白米ばかり食べていたので、高頻度で江戸患いになったのです。
明治以降も、日清戦争や日露戦争では、撃たれて戦死した兵士よりも、脚気で死亡した兵士のほうが多かったと言われています。脚気の原因が解明されたのは明治末期、鈴木梅太郎博士のビタミンB1発見などによってでした。
がん患者の多くが白米中心の生活だった
それだけではありません。白米は、言わば「でんぷんの塊」であるため、食後すぐに血糖値を高めやすいのです。それに、白米ばかりを大量に食べると、体脂肪を蓄積しやすくする欠点もあります。体内には「クエン酸回路」というエネルギーの代謝システムがあるのですが、ビタミンB1、B2が不足すると、エネルギーをうまく消費できなくなり、余ってしまうためです。
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