日本だけでなく、世界中から「ヘルシー料理」として注目を集めるお寿司。その中でも特に栄養価が高く、お勧めの「神ネタ」を慈恵医大附属病院の管理栄養士に選び抜いてもらった。

健康効果が期待できるが「食べすぎ」には注意

魚は、本来であれば毎日でも食べてほしい食材です。魚介類の脂質は肉類と異なり、健康に良い不飽和脂肪酸で構成されています。

中でもDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、中性脂肪を減らし、血管年齢の改善や脳のパフォーマンス向上に寄与する成分として注目されています。

にもかかわらず、日本における魚の消費量は減少の一途です。水産庁によれば、食用魚介類の1人あたりの年間消費量は2001年度の40.2キログラムをピークに、23年度には21.4キログラムと、半分近くにまで落ち込んでいます。手軽に調理できる肉類を多く食べたり、骨を取るのが面倒だったり、そういった人が増えているのだと思いますが、非常にもったいないことだと思っています。そこで活用してほしいのが「お寿司」です。

高級なイメージがあったお寿司ですが、近年は回転寿司などのチェーン店も増え、ぐっと身近な存在になりました。また、提供までの時間が短く、メニューも豊富とあって、ビジネスパーソンが仕事の合間に手軽に栄養補給することができます。

私自身も寿司が大好きで、よく食べています。でも、健康にいいからといって、食べすぎには注意。頻繁に食べるのなら「理想的な食べ方」を知っておいたほうがいいでしょう。

まず、お寿司は健康効果が期待できる一方で、いくつかの“落とし穴”があることを理解しておいてください。第一に気をつけたいのが「塩分の摂りすぎ」です。塩の主成分であるナトリウムを摂りすぎると、高血圧を招く可能性があるからです。

お寿司を食べる際には醤油をつけると思いますが、シャリではなくネタに軽くつけ、そのネタ側から舌につけるようにして食べてください。醤油が舌に直接当たることで、少ない量でもしっかりと塩味を感じられます。

回転寿司などでは、上から数的滴らせる醤油も置いてありますので、そういったものでつけ方を調整したいところです。醤油皿に出して使うタイプしかなく、ネタにのみ醤油をつけるのが難しいようであれば、ガリを使ってみてください。ガリに醤油を少量つけ、刷毛のように使ってネタにつけることで、醤油の使いすぎを回避できます。

ちなみに「野菜の代わりに」と、ガリを大量に食べる人もいますが、それは避けたいところです。そもそもガリは、口の中をさっぱりさせることによる味のリセット効果や、生姜に含まれるジンゲロールによる抗菌作用を促すためのもの。大量に食べると、甘酢に含まれる砂糖と食塩を摂りすぎてしまいます。野菜に代わる何かを加えたいのであれば、副菜や汁物でカバーするといいでしょう。例えば、あおさの味噌汁や魚のアラ汁であれば、ミネラルや食物繊維が豊富。寿司の栄養バランスを補ううえで非常に有効です。

最も気をつけてほしいのが「食べる量」です。体に良いからと食べすぎるのは御法度。理想的な量は、10〜12貫。回転寿司なら5〜6皿です。あらかじめ食べる皿の枚数を決めておくといいでしょう。少ないと感じられるかもしれませんが、スーパーなどで売っているパック寿司も同じくらいの量になっています。つまりそれが適量なのです。

(構成=中川真知子 イラストレーション=前田はんきち)