2023年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活・メンタル部門の第4位は――。(初公開日:2023年7月1日)
野菜の代表的な栄養素であるビタミンを効率的に摂取するにはどうしたらいいのか。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士・赤石定典さんは、「野菜を切る前に洗う、大きめに切る、油と一緒に、ということを心がけることで栄養摂取することができる」という――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023夏号』の一部を再編集したものです。

キャベツ
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです

野菜は「切る前に洗う」「大きめに切る」「油と一緒に」

野菜の栄養素といえば、まず思い浮かぶのがビタミン。体内でビタミンAに変わるβ-カロテン、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群、抗酸化作用の高いビタミンCなど、さまざまなビタミン類が含まれます。

実はこれらのビタミンは、野菜の洗い方、切り方、さらに調理法でも、摂取できる量に差が出ることをご存じでしょうか。

『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2023夏号』(プレジデント社)

たとえば、とんかつなどの揚げ物に欠かせない千切りキャベツは、シャキッとさせるために、切ってから冷水に漬けている人も少なくないのでは? しかし栄養的にそれはNG。キャベツに含まれるビタミンCは水溶性のため、漬けた水にどんどん流れ出てしまうのです。千切りにする場合は、葉をはがすなどして洗い、その後に切るのが鉄則。もしシャキッとさせたいなら、さっと冷水にくぐらせる程度にしましょう。

ホウレンソウや小松菜など青菜に豊富に含まれるビタミンB群もやはり水溶性のビタミンなので、切ってから水洗いするのは禁物です。どんな野菜も「切る前に洗う」を基本にすれば間違いないでしょう。

加えて、切り方でもビタミンの流出量に差が出ます。栄養分をキープするにはできるだけ大きめに切ることと、繊維に沿って切ること。たとえば、ピーマンは繊維が通る縦に切るとビタミンが流れ出にくくなります。もっとも、サラダには繊維を断つ輪切りのほうがやわらかくて食べやすいはず。その場合は、すぐに食べるようにしましょう。

もう一つ、加熱の仕方もポイントです。避けたいのはゆでること。特にもったいないのは切ってからゆでる方法で、大切な栄養分を捨ててしまうようなものなのです。ビタミンを残すためには蒸すか、ラップに包んで電子レンジで加熱するのがオススメ。ホウレンソウにはカルシウムや鉄分の吸収をブロックするシュウ酸が含まれているので「ゆでないと心配」という人もいるかもしれませんが、シュウ酸が多い根元のところだけを30秒ほどゆでればOK。その後、電子レンジなどで加熱すればよいのです。