※本稿は、林健太郎『リーダーの否定しない習慣』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
部下の「存在」を消してしまう、悪気のない上司の言葉
それでは「否定しないマネジメント」を進める際に、基本となる大切な考え方をお伝えします。まず押さえるべき一番大切なことは「相手の存在を否定しない」ということです。否定というのは、様々なシーンや状況から生まれます。
「違う!」「全然ダメ!」と意見を否定する、考えを否定する、行動を否定する、失敗を否定する、仕事の姿勢を否定する、資料などの成果物の出来を否定する……など、様々考えられるでしょう。そのなかでも最も相手に与える影響やダメージが大きく、最もやってはいけない否定が、「存在の否定」なのです。
「えっ? 存在を否定することなんてありますかね?」
「無視するとかそういうこと? さすがにそんなことをする人いますか?」
などと思うかもしれません。とはいえ、これは実際、起こり得ることで、直接的でも、間接的な伝わり方でも、存在を否定されたと感じるシーンがあります。その代表例が、相手のミスを否定するときに人格否定をしてしまうことです。たとえば、
「え、それで終わり?」
「もうちょっと考えてから動いてくれる?」
「何回言ったらわかる?」
「やっぱ向いてないんじゃない?」
「正直、戦力になってないよね……」
「こういうの、○○さんに任せるのはちょっと不安なんだよね
「もう少し“ちゃんと”してもらえると助かる」
「自分で気づいてくれるといいんだけどなぁ」
「あ、○○さんはそのまま聞いてるだけで大丈夫です」
これらの言葉に含まれるニュアンスを裸の言葉にすれば、きっと「お前って本当に無能だな」といった本音になると言ったら言い過ぎでしょうか?
そう言ってしまえば、完全にパワハラにあたります。ただ、先に例示したような、多少オブラートに包んだ発言をリーダーがしたとします。
これらは能力や結果に対する否定ですが、それを言われた部下からすれば「自分が否定された」と感じるでしょう。この職場にいてはいけないのか、能力的に不適格なのかと思い悩むかもしれません。こういったものが「存在の否定」です。
あなたは、部下の存在を否定していないと、言い切れるでしょうか?

