夏バテなどで体が疲れているときは、どんなものを食べたほうがいいか。「管理栄養士の森由香子さんは「焼肉やウナギがスタミナ食として知られているが、それだけを食べても疲労回復の効果は見込めない。ウナギを食べる場合は、とある野菜と組み合わせることで疲労回復効果が期待できる」という――。(第1回)

※本稿は、森由香子『疲れない人の上手な食べ方』 (青春新書プレイブックス)の一部を再編集したものです。

ウナギ
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体で一番疲労しやすいのは、自律神経の中枢

昔から「疲れたらスタミナ食で疲労回復」といわれていました。いまでも、どっと疲れたときは、焼肉でスタミナを補給する、という方も少なくないでしょう。

しかし、体の中で、一番疲労しやすいところは、どこだと思いますか? それは、筋肉でも、骨でも、消化器官などの内臓でもありません。脳にある自律神経の中枢です。

脳はとても繊細で、機能低下を起こしやすいところです。ある報告によると、16時間以上連続して起きていると、脳機能は低下し、酒気帯び運転状態と同じ程度にしか機能しなくなるとか!

たとえば、徹夜明けの体を想像してみてください。頭はボーッとして思考力も落ち、言葉も思うように出てこなくなり、体を動かすのもつらく、フラフラ状態になりますよね。これは、脳が疲れている証拠。全身の指令塔である脳の働きが低下すれば、精神的にも肉体的にも、作業効率が下がってしまいます。

そんなとき、焼肉などのスタミナ食を食べて、体力を回復しようと考える方も多いようです。しかし、それはまったく間違った対処法です。残念ながら、焼肉をいくら食べても、食欲が増すばかりで、スタミナがつくどころか、体に脂肪がつくだけの結果になりかねません! 基本的に、脳の疲れは睡眠がもっとも効果的な回復方法です。