大阪都という形で広域行政を一元化すれば、
「私鉄との相互乗り入れが進んでいない地下鉄や高速道路などの交通ネットワークが強化でき、利便性は格段に高まる」
と浅田氏はいう。たとえば市営地下鉄は2015年の民営化に向けて動き出していて、それに先立って初乗り運賃の値下げや終電時間の延長が決まっている。
「東南アジアなどに、日本の社会インフラを売り込むことも可能です。道路、商店、工場などができてくると、交通インフラも必要になる。そうすれば、市営地下鉄などの交通のノウハウを、パッケージとして売ることもできます」
橋下市長はカジノ誘致に意欲を示しているが、これも大阪都下の「特別区」という枠組みが重要なカギを握る。
「日本でカジノを稼働させるためには、変えなければならない法律が200以上あると聞いています。しかし大阪に『カジノ特区』という例外的な特別区を設置すれば、それも可能になる」
法人税ゼロの経済特区や医療サービスに特化した医療特区など、世界中から富や人材を呼び込む特区構想は、さまざまある。
「今回の法案が通れば、税源配分や規制緩和など、我々がやりたいことのかなりの部分が実現可能になります。これがファーストステージ。
セカンドステージは、我々は『グレーター大阪』と呼んでいますが、大阪周辺の10市、豊中市や吹田市などにも大阪都の特別区に入ってもらう。そうなれば、規模の経済も働いて、都市としての国際競争力もついてくる。その先にあるのが道州制です」
大阪都構想は単なる都市再生にとどまらず、道州制という日本の統治機構の変革へとつながる。日本の社会や経済、ビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めているのだ。
浅田均
京都大学哲学科卒。スタンフォード大学大学院修士課程修了。NHK職員などを経て、府議会議員として4回当選。