法律の改正は、ビジネスに大きな変化をもたらすきっかけになることが多い。できるビジネスマン必須の「法律改正」講座を読み解いてほしい。
大阪都構想:海外の水ビジネスにもチャンスあり
橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が掲げる「大阪都構想」を後押しする法案、「大都市地域特別区設置法案」が与野党7会派から国会に共同提出され、12年8月10日に衆議院で可決された。
東京都以外でも、政令指定都市と隣接する市長村の総人口200万以上の区域では、市町村を廃止して特別区を設置できるというのが同法案の柱である。成立すれば、大阪市を廃止し、大阪都の下に「特別区」を設置するための手続き作業が本格的にスタートする。
「我々が目指す分権の最終形は道州制です。今回の法案はそこに至る一里塚。これで終わりではない。もう国同士が競争する時代ではなく、これからは都市間で競争する時代です。都市がそれぞれのアイデアを自由に競い合えるように、国の統治機構を変えていかなければならない」
大阪府議会議長の浅田均氏は、こう語る。「大阪維新の会」の政調会長で、次の衆院選に向けた会の公約である「維新八策」を起草したのも浅田氏だ。
では、大阪都が実現すると、何ができるのか? 何が儲かるのか? 浅田氏がいの一番に挙げたのは「二重行政の解消」だった。
大阪府と大阪市は同じような組織を持ち、同じような行政をしている。この二重行政を一元化すれば、無駄な行政コストは削減できるし、分散している投資や人材を1つに集中できる。
「二重行政の典型が、たとえば水道事業です。大阪府、大阪市、それぞれが水道事業を行っていて、浄水場も別々に持っている。現在、水道施設の稼働率は4~6割で、使われ方は非常に不効率である。
これを統合することで不要になる施設が半分くらい出てくる。そうすれば維持管理費も不要になるし、跡地も売却できる。さらに技術力も集約できます。今は大阪府も大阪市もバラバラに海外の水道事業に売り込んでいますが、一元化すれば海外での水ビジネスのチャンスが大きく広がる」