脳の成長の次に身体の成長がやってくる

ゴリラの赤ちゃんの脳は生後4年間で2倍になり、おとなの大きさに達する。人間の赤ちゃんの脳は生後1年間で2倍になり、5歳までにおとなの90%まで達し、12~16歳で完成する。

山極寿一『争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から』(毎日新聞出版)

人間の赤ちゃんの体重が重いのは、体脂肪率が高いためで、急速に成長する脳に栄養が行き届かなくなるのを守るためである。この時期人間の赤ちゃんは、摂取エネルギーの40~85%を脳の発達にまわしている。そのため、身体の成長が遅れることになったというわけである。

脳が完成する時期、身体の成長にエネルギーを回せるようになって、成長速度が加速する。これを思春期スパートといい、心身のバランスが崩れる時期である。繁殖力と社会的能力を身につけなければならない時期でもあり、トラブルに巻き込まれて傷ついたり病んだりする。

人間の親子を取り巻く社会関係は、この離乳時期と思春期を支えるために作られたといっても過言ではないと思う。

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