300万円超を追加請求する悪徳クリニックも
国民生活センターのアドバイスを補足する意味で、手術を受ける前に確認してほしいことを、もう少し挙げておきます。
受診を検討している医療機関のHPで概要情報を調べるだけでなく、その医療機関の評判も、ネットで検索するなどして確かめておきましょう。病院を決めたら、手術を決断する前に、その病院でカウンセリングを受け、費用・手術内容・合併症についてきちんと説明してもらってください。
聞いた話ですが、手術台にのせられた状態でオプションを提案され、はっきり断らなかったせいか、術後に300万円を超える額を請求された人がいたそうです。そういう悪徳クリニックもゼロとはいえないので、きちんと確認しておきましょう。
仮性包茎で手術を受けるのは、通常時でもむけている状態になることを希望しているからでしょうが、その場合は、包皮を切るという方法だけでなく、ヒアルロン酸などを注入して亀頭を大きくして包皮をひっかけるという方法もあります。けれども、ヒアルロン酸は自然吸収されるので、一定期間しか効果は持続しません。
なかには、永続的に残るほかの素材を使用することを提案する医療機関があるかもしれませんが、よりハイリスクになり、副作用で血管閉塞による壊死が起こる可能性もあります。ほかにも皮膚が腐り、亀頭が欠けてしまうようなことも起きかねません。これらのリスクは、手術を決断する前に知っておくべきことでしょう。
合併症のリスクは高くはないが…
包茎手術のリスクについては、WHOが発表しているデータがあるので、紹介しておきます(※3)。
※3:Shabanzadeh DM, Clausen S, Maigaard K, Fode M. Male Circumcision Complications - A Systematic Review, Meta-Analysis and Meta-Regression. Urology. 2021 Jun;152:25-34.
WHOによると、合併症は3.84%程度。しかも、これらの合併症は簡単に治療できる範囲。つまり、ごく軽症とされています。青年期、成人期の割礼(≒包茎手術)は、出血したり、血の塊ができたり、細菌に感染するなどの合併症を起こす可能性がないわけではありませんが、経験豊富な医師が行えば、長期の後遺症が残ることはほとんどありません。
けれども、手術経験の少ないドクターや不衛生な環境での手術はリスクが高くなります。手術の経験がある医師であれば合併症は2.54%以下。しかし、未熟な医師だと合併症になる確率は4.56%。これには有意差があります。