包茎に悩む男性は多い。自身の経験をもとに男女の性機能について取材を続けてきた径書房代表の原田純さんは「WHO(世界保健機関)のデータによると、世界の男性のおよそ6割はかぶったままであり、『仮性包茎』という分類があるのは日本だけだ」という――。
※本稿は、原田純、熊本美加、スドウユイ、(監修)関口由紀『愛されるペニス サイズ神話のウソ・ホント』(径書房)の一部を再編集したものです。
1980年代に「包茎手術」がブームに
さて、ここからが包茎問題の本丸です。
最初に結論を言ってしまうと、仮性包茎の場合、ペニスの皮をむく必要はありません。むけているほうが洗いやすいことは確かですが、通常時は、かぶっているのが自然な状態。治療が必要なわけではないのです。
ところが、ペニスの美容形成が日本に導入された1980年代、包茎は3つに分類されました。
仮性包茎・真性包茎・カントン包茎です。治療が必要なのは真正包茎とカントン包茎だけなのですが、並列に並べられたからでしょうか、仮性包茎が、あたかも治療すべき病気であるかのようにとらえられてしまったのです。
1980年代のそのころ、日本では、包茎手術がブームになっていました。「包茎は恥ずかしい」「包茎だとモテない」という、コンプレックスを煽るビジネス商法がはびこり、多くの男性に「仮性包茎は手術が必要」との誤解を刷り込んだのです。
すでにご存じだと思いますが、ここで改めて、包茎についておさらいしておきましょう。包茎の医学的分類は次の3つです。
包皮は体を守ってくれるありがたい存在
■仮性包茎…………勃起したときに、するすると皮がむけて亀頭が出る。医学的には問題なく病気でもない。※治療を希望する際は保険適用なし。
■真性包茎…………包皮口が狭く、勃起しても皮がむけないので治療が必要。※保険適用。
■カントン包茎……包皮口が狭いため、勃起時、虚血による腫脹で自分では戻せなくなり、緊急手術となることがある。無理にむくと亀頭が戻せなくなる。包皮口からペニスを出し入れする際に痛みをともなうので治療が必要。※保険適用。
■真性包茎…………包皮口が狭く、勃起しても皮がむけないので治療が必要。※保険適用。
■カントン包茎……包皮口が狭いため、勃起時、虚血による腫脹で自分では戻せなくなり、緊急手術となることがある。無理にむくと亀頭が戻せなくなる。包皮口からペニスを出し入れする際に痛みをともなうので治療が必要。※保険適用。
真性包茎とカントン包茎は治療が必要です。それについてはのちほどお話ししますが、仮性包茎は「放置でまったく問題なし!」です。
そもそも、哺乳類のスタンダードは仮性包茎なのです。野山を駆け回って獲物を追いかけていた人間の祖先、原人のペニスがむき出しだったら、まるで、ヘルメットを着けずに、オートバイで暴走しているようなもの。危険極まりなし、です。つまり包皮は、大切なペニスを保護してくれているありがたい存在。感謝してもいいくらいです。