自分では気づけない口臭を予防する方法は何か。日本歯科大学付属病院臨床准教授で歯科医師の多保学さんは「コンビニなどには、タブレットやガムといった、口臭を抑えるためのさまざまなグッズが販売されているが、こうしたグッズはその場しのぎでしかない。歯周病にかかっていない健康な人の場合は、専用の清掃器具を使って舌苔を取れば口臭はある程度消えるだろう」という――。

※本稿は、多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

容器からこぼれた粒状ガム
写真=iStock.com/Toru Kimura
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口臭の9割はこの2つを取り除くと防げる

日本歯科医師会が2016年に10〜70代の男女1万人を対象に行った意識調査によれば、自分の口臭が気になった経験があると答えた人は全体の約80%に上ります。多くの人が気にしている口臭ですが、なぜ発生するのでしょうか?

実は、口臭の原因の9割以上は口の中にあります。口臭の元になっているのは、口の中から発生する硫黄化合物の揮発性ガスです。

代表的なものは硫化水素(卵の腐ったような臭い)、メチルメルカプタン(魚や野菜の腐ったような臭い)、ジメチルサルファイド(生ゴミのような臭い)の3つで、そのうち硫化水素とメチルメルカプタンが約90%を占めると言われています。

そして、硫黄化合物のガスが発生する主要な原因となっているのが、歯周病と「舌苔」と言われる舌の苔です。歯周病については日本人の成人の8割が患っているか予備軍と言われるだけに、口臭の主たる原因である可能性は高いと言えます。

舌苔は、舌の上に付着した白いこけ状のもので、口の中の粘膜がはがれたものや細菌などの塊です。健康な人でも舌苔はつきますが、その量が多ければ多いほど口臭は強くなります。口臭の多くは、歯周病を治療すること、そして舌苔を取り除くことによって防ぐことができます。