将来の子供の歯並びを良くするには何をすればいいか。日本歯科大学付属病院臨床准教授で歯科医師の多保学さんは「指しゃぶり・おしゃぶりが長期間にわたって続くと、上下の前歯の間にすき間ができる『開咬』という不正咬合になる恐れがある。また、そのような癖により口呼吸になった結果、子どもの顎が育たずに歯並びに悪影響を与える可能性がある。2〜3歳を過ぎても続くようなら子供の爪に苦味のあるものを塗ったり、好きなキャラクターの絆創膏を貼ったりして『噛んだらかわいそう』と思わせるといい」という――。

※本稿は、多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

指しゃぶりが続くと、上下の前歯の間にすき間ができる

指しゃぶり・おしゃぶりは歯並びに悪影響です。子どもの気持ちが安心するからといって、いつまでも続けさせてはいけません!

指を口に入れる女の子
写真=iStock.com/Alex Liew
※写真はイメージです

赤ちゃんの癖の1つに指しゃぶりがあります。成長するにつれ自然にしなくなりますが、中には、指に「吸いダコ」ができるほど続ける子どももいます。指しゃぶりの癖が、歯が生え始める頃まで残っていると、歯並びや噛み合わせに悪影響を与える可能性があります。

長期間にわたって指を吸い続けていると、上下の前歯の間にすき間ができる「開咬」という不正咬合になる恐れがあります(図表1)。

【図表1】開咬
出所=『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

開咬になると、前歯でものを噛み切ることが難しくなります。また、歯並びの横幅が狭くなる「狭窄歯列弓」を引き起こす可能性もあります(図表2)。2〜3歳を過ぎても指しゃぶりを続けている場合は、徐々にやめさせた方が良いでしょう。

【図表2】狭窄歯列弓
出所=『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

指しゃぶりをなかなかやめない場合は、爪に苦味のあるものを塗ったり、好きなキャラクターの絆創膏を貼ったりして「噛んだらかわいそう」と思わせるなどの方法があります。