おしゃぶりは1歳半くらいまでに卒業を

解剖学的にどうしても治らない場合は、全身麻酔などを行い、外科的に手術を行う必要もあります。これにより根本的な治療をするケースも数多くあります。

多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)
多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

そのため、当医院では小児期の耳鼻咽喉科疾患に対する手術のオプションも持ち合わせた耳鼻咽喉科クリニックに紹介状を書いています。

最近の小児期の患者さんを診察すると、5人のうち4人くらいが不正咬合になっています。まさに不正咬合のパンデミック状態です。また、おしゃぶりも指しゃぶり同様、いつまでも続けていると歯並びに悪影響を与える可能性があります。

開咬や出っ歯の他、舌が上顎に当たらないため、上顎が十分成長せず、乳歯列の空隙が不足したり、上の奥歯が下の奥歯の内側に入ってしまう「臼歯交叉咬合」になったりする恐れがあります(図表5)。

【図表5】臼歯交叉咬合
出所=『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

おしゃぶりも1歳半くらいまでには卒業させるようにしましょう。母乳育児が6カ月未満の場合、2倍の確率でおしゃぶりの癖を助長するという研究結果があります。

また、別の研究では、母乳を12カ月以上授乳した子どもの臼歯交叉咬合の発症率は、母乳の経験がない子どもに比べて20倍、6〜12カ月授乳した子どもに比べて5倍低かったという報告もあります。

不正咬合のリスクを減らすためには、生後6カ月以上は完全母乳での育児をおすすめします。

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