テレビゲームの「意外なメリット」

ゲームは百害あって一利なし――そんなイメージを持って、敵視している親御さんもいますよね。確かに、害が多いのは間違いありません。しかし、実は利点もたくさんあります。ワーキングメモリの働きがよくなり、集中力が高まり、「空間認識能力」も向上します。これらは勉強で良い成績を取るために必要な能力です。ゲームには脳トレになるという側面もあるのです。

また、ゲームの種類によっては、知識の習得の助けになるものもあります。有名なものだと、『桃太郎電鉄』です。現在「教育版」が開発されていて、学校・教育委員会・地方自治体に無料で提供されています。

学校教育が遊びを通じて賢く育てるという方向に変わっていったら、子どもにとっても学びが楽しくなっていくので良いことですね。その一方で、自己コントロール力の低下を招く危険があるという大きなデメリットがあるため、制限も必要になります。

ゲームは「1日1時間まで」ならOK

重要なのは、なぜ制限が必要なのかを納得させることです。子どもが納得しない状態で無理に取り上げても、友達の家に行ってゲームをしたり、隠れてゲームをしたりするだけです。そうしたご相談をたくさん受けてきました。子どもの行動を一方的に管理し、制限しようという発想を手放して、話し合いましょう。

菊池洋匡、こしいみほ『マンガで即わかる!学力があと伸びする子の親が大切にしていること』(実務教育出版)

では、ゲームはどれくらいまでならやらせてもいいのでしょうか?

慶應義塾大学の中室牧子教授らの研究によると、1日1時間程度のゲームは子どもの学力に全く悪影響はないことが示されています。東北大学と仙台市教育委員会の共同研究でも、同じく1時間を超えてゲームをすると成績は下がるが、1時間未満であれば問題がない、という分析結果でした。

もちろん、ゲームを1時間、YouTubeを1時間、SNSを1時間で合計3時間といった状態だと、ゲームだけ1時間以内に収まってもダメです。ゲームやパソコンなどのスクリーンタイムは、合計1時間を目安にしましょう。

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