20万部超のヒット作品『#真相をお話しします』がある人気ミステリ作家・結城真一郎さん。東大法学部在学中に本格的に作家を目指したが、そのルーツは小学生時代、開成中高時代にあった。『プレジデントFamily』編集部の取材に答えた、自身の言葉の力を鍛えたもの、親が家庭で大切にしていたことは――。
※本稿は、『プレジデントFamily2024秋号』の一部を再編集したものです。
秘密基地のわんぱく小僧が受験塾へ
子供時代は一言でいうなら「わんぱく小僧」。学校から帰ると、ランドセルを置いて牛乳を1杯飲んだら、すぐに遊びに出る。当時、横浜の自宅の周りは自然に恵まれていて、友達と近所の雑木林に入って、秘密基地をつくって、マシュマロを焼いて食べたり。下水道のなかに入って探検したりもしていました。
一方、家にいるときは、よく本を読んでいました。本好きになったきっかけは親の読み聞かせ。母親も本が好きで、小学校3年生くらいまで、読み聞かせをしてくれたのです。今でもよく覚えているのは『ハリー・ポッターと賢者の石』。
発売されてすぐに母親が分厚い本を持ってきて、これ読むわよって。3年生ぐらいになると、だんだん自我が芽生えて「読み聞かせなんてだるい、自分で読めるわ」なんて思っていましたが、読み聞かせをしてもらったら、もう面白すぎて。次の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』からは自分で読むようになりました。
野山で冒険をしていたように、本も探検ものやファンタジー系にはまった。『デルトラ・クエスト』や『指輪物語』も読んでいました。
家には本がたくさんありましたし、毎週、図書館に行っていました。書店にもよく連れて行ってもらい、本であれば、欲しいものはすべて、制限なく買ってくれたのも嬉しかったです。
うちの親は、どちらかといえば教育熱心なほうだったと思います。でも、勉強を強いるタイプではなく、外で泥んこになって遊んでいる私を好きにさせていました。学校の宿題以外でやっていたのは、国語と算数のドリルだけです。