「わんぱく小僧」がなぜ開成を目指したのか

それが中学受験塾に入ることになったのは、小学校4年生の2月。中学受験に関しては「そういうもんだから」という感じで、親に塾の体験授業に連れて行かれ、入塾テストを受けていました。自分としては、通っていた水泳教室で選手コースに入るつもりでしたが、なぜか塾に通うことに。

中学受験をすることで将来の可能性が広がるし、自分と価値観の近い友達関係で過ごしたほうがいいんじゃないか、などと両親の教育方針が合致して“決まっていたこと”だったのでしょうね。

なし崩しで中学受験塾に入ったのですが、今まで自由に遊べていた時間に塾に行かなければいけなくなる、土日にテストがある、それ以上に小学校の友達と同じ中学校に行けなくなる。そんなモヤモヤが払拭されたのは、志望校が明確に決まってからでした。

小学校5年生の5月に、開成の運動会を見たのです。全員、上半身裸で血気盛んに棒倒しをして、負けたら男泣きして……。その熱気に一瞬で引き込まれました。これに混ざりたい!

ここに行くためなら勉強もがんばる‼ と明確に思ったんです。

得意な教科は、国語でした。中学受験は、4教科あっても結局すべて読解力に収束すると思っています。どの教科も、問題文を読み解き、どういう条件があって、何を問われているのか整理する能力が求められる。私はそれが得意だったので、国語以外も苦にはなりませんでした。

周りの子は3、4年生から塾に入って理科・社会を始めているので、スタート地点はかなり後ろでしたが、国語・算数に関しては負けている気がしませんでしたね。

これは塾長のアドバイスでしたが、6年生の夏までは得点配分の高い国語・算数を徹底的にやる。理科・社会はそのつど単元は勉強するけれど、暗記で追い込みをかけるのは6年生の夏から。そういう作戦を立てて勉強を進めました。

当時の私が勉強をがんばれたのは、まず開成に行きたいという強い思い。そして、やったことが成果に結びつく実感を得られたことも大きかった。勝負ごとが好きなので、全国順位で何位とか、偏差値が前回よりいくつ上がったとか、ゲーム感覚で楽しんでいました。

『プレジデントFamily2024秋号』(プレジデント社)
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毎週末のカリキュラムテスト後には、本屋に行って好きな本や漫画を買ってもらっていたので、テストの日が楽しみだったぐらいでした。

そうやって楽しく学べるように考えてくれていたのかもしれません。両親からは、「5年生から勉強漬けになったら息切れする」と言われていました。本当に詰めてやるのは、6年生の夏以降でいいから、それまではケガをしない範囲で遊んだほうがいい、と。

6年生の夏までは夕方5時まで遊んで夕食までの1時間は勉強する、などメリハリをつけて、最後、夏休み明けからは一気に机に向かいました。序盤に遊んで適度に体力をつけていたからこそ、最後の半年、そのあり余ったパワーを受験のために投入できたのだろうと思います。