中学受験に備えて低学年のうちに何をさせるといいか。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは「焦って塾に早く入れるのではなく、低学年のうちは『今しかできない遊び』や『体験の機会』をたくさん与えて、しっかりとした土台を作ったほうがいい。実際、外遊びが空間認知能力を育み、それが算数の立体図形の問題を解く力に関係するという話もある。また子供の頃に、家族でスポーツをしたり、自然の中で遊んだりした人ほど、失敗しても再び挑戦する『へこたれない力』が高いということもわかっている」という――。
※本稿は、中曽根陽子『中学受験 親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
「早く塾に入ったほうが有利」は大きな間違い
地域によっては、「低学年から塾に入れないと塾に入れない。受験に間に合わない」という都市伝説が、あたかも真実のように語られています。
受験軸にもよりますが、私は個人的には焦って塾に入れなくていいと思います。
というのも、早くから塾に通うとマンネリ化して、高学年になってから「塾疲れ」という状態になってしまいかねないからです。
実際、早くから塾に行かせていたあるお子さんは、学年が上がるにつれて、途中から入ってくる生徒に成績で抜かれて自信をなくし、結局、受験もうまくいきませんでした。
低学年のうちは人数も少ないので、上位にいきやすいですが、母数が増えれば当然相対的評価は厳しくなります。それを当然のこととして受け止められるといいのですが、親のほうが「こんなに長く塾に行っているのに成績が落ちた」と焦ることが多く、これが余計に悪循環を招いているのです。
低学年のうちに大事なことは「しっかりとした土台」をつくることです。
勉強という面では、学校の勉強がわかれば低学年のうちは十分。特に大事なのは「勉強嫌いにさせない」ことです。いったん、勉強嫌いとか、苦手意識がついてしまうと、そこからリカバリーするのは簡単ではありません。
子どもが低学年のうちは「今しかできない遊び」や「体験の機会」をたくさん与えたほうがいいと私は考えます。
実際、外遊びが空間認知能力を育み、それが算数の立体図形の問題を解く力に関係するという話もありますし、子どもの頃に、家族でスポーツをしたり、自然の中で遊んだりした人ほど、失敗しても再び挑戦する「へこたれない力」が高いということもわかっています。