ただ長生きなだけではなく、若くて元気

ちなみに、京丹後地域は、100歳を超える百寿者の割合が全国平均の約3倍という長寿地域ですが、京丹後の人の腸にもアッカーマンシア菌(※)はほとんどいません。そもそも、国内で沖縄以外のエリアではアッカーマンシア菌はほとんどいないのです。

※生活習慣病対策や長寿の研究で世界的に注目を集める菌。肥満や血糖値の高い人の腸に少ないと報告されている。

にもかかわらず、日本人の平均寿命が世界トップクラスということを考えると、日本人の長寿の理由は、アッカーマンシア菌とは別のところにある可能性が高いでしょう。

京丹後地域の人たちはただ長生きなだけではありません。インフルエンザが全国的に流行したときも、京丹後の高齢者は感染率が非常に低く、サルコペニア(加齢による骨格筋量の低下および筋力の低下)の人も10%を切っています。

しかも、大腸がんの罹患率は京都市の半分以下です。血管も若い、免疫も若い、筋肉もしっかりして、フレイルや認知症も少ないという、特異な集団です。

野菜や全粒穀類、海藻を毎日食べている

そこで、この地域ではどのような食事が多いのか、調査を行ったところ、京丹後の高齢者は、京都市内在住の人に比べ、野菜や果物、豆やイモや根菜類、全粒穀類や海藻を食べる頻度が明らかに多かったのです。

京丹後在住51人、京都市内在住50人を対象に食事調査。食物繊維を多く含む食材や、ヨーグルトなどをどれくらいの頻度で食べるか尋ねたところ、京丹後市のほうが食物繊維を含む食材を毎日食べる人の割合が高かった。
出所=『腸内細菌の科学』 データ=筆者がテレビ番組の依頼で実施